投資顧問会社の当局検査指摘事項5


<平成24年施行改正金融商品取引法>
4月1日から、投資顧問会社(投資助言・代理業)の登録拒否事由が180度変わります。これまで、投資助言・代理業については、登録申請時に「人的構成」の審査がされませんでしたが、4月1日以降、人的構成の審査がされることになります。

既存の投資顧問会社についても影響があります。既存の投資顧問会社は、コンプライアンスの知識と経験が十分にある者を採用することが要求されます。

4月1日以降、登録をしようとする会社は、コンプライアンスの知識と経験が十分になる者を役員に採用し、さらに、コンプライアンス担当者と内部監査担当者を採用しなければなりません。

以上から、金融庁が、投資顧問会社の「浄化」を真剣に図っていることが読み取れます。

<具体的に必要な人材>
具体的にどのような人材が必要かといえば、端的にいって、金融商品取引業者(証券会社)で、コンプライアンス経験がある者と、内部監査経験のある者の最低2名が必要になります。

「投資顧問会社が、そんな人材を雇えるか!」というお叱りの声が聞こえてきそうですが、金融庁は「それなら登録するな」という姿勢です。

<コンプライアンスの外部委託の注意>
監督指針と関連パブリックコメント回答によると、コンプライアンスは弁護士等に外部委託可能とあります。ここで弁護士等とは、「金融商品取引業に関し法令等を遵守するために必要な指導等を適正に遂行することができると認められる者」でなければなりません。

したがって、金融商品取引法に関する法律意見を常時書いている弁護士や証券会社でコンプライアンスを3年以上経験した弁護士・行政書士等有資格者以外の者に外部委託しても、監督指針の要件は満たさないことに注意が必要です。

<財務局の運用>
これまで、財務局は一定の金融商品取引法の研修を受講した者なら、コンプライアンスの知識・経験がある者とみなしてきましたが、4月1日以降、このような甘い運営は修正され、実際に、金融商品取引業者でコンプライアンスの実務経験が3年以上あるなどの事情が認められない限り、コンプライアンスの知識・経験がある者とみなさない運用をするはずですし、しなければなりません。

そうしなければ、せっかく金融庁が厳しい基準を設けたにもかかわらず、財務局の甘い運用のせいで、第二、第三のAIJ事件を生むことになり、顧客の保護が図られないからです。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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