野村証券のCEO交代


<野村証券CEOの交代>
「野村証券のインサイダー問題で、野村ホールディングスは、CEOが辞任すると発表した」と報道されています。

また「この問題について、証券取引等監視委員会は、野村証券の行政処分を近く金融庁に勧告する方針」と続いています。「この問題」とは、文脈から言って「野村証券のインサイダー問題」を指していることになります。

が、これはおかしい。

<インサイダー情報の漏えいと金商法>
今ではどの新聞も指摘していますが、もともとこのブログだけが指摘していたように、インサイダー情報の漏えいは金融商品取引法違反ではありません。報道によれば、野村証券は、営業部門が顧客に情報を漏えいしただけで、野村証券の役職員が取引を行ったわけではありません。

漏えいされて利用してやろうと売買を行った者が処分されるのはわかりますが、たまたま知っていることを漏らしてしまった者まで処分されるのはあまりにも酷です。

ということは、野村証券に対し、近々、証券取引等監視委員会は行政処分勧告を、金融庁は行政処分を行うと報道されているのは間違いでしょうか。

<予想される行政処分>
間違いではありません。ただし、インサイダー取引関係の法令ではなく、金融庁は、おそらく、「法人関係情報の管理不備」の問題が認められたとして、野村証券に業務改善命令を出すでしょう。

法人関係情報は、何度も説明しています。一言でいえば、投資家の投資判断に影響する未公表の上場会社の情報です。証券会社は、法人関係情報を適切に管理する義務を負います。野村証券は、法人関係情報の管理不備が認められますので、上述した内容で上述した行政処分が出るはずです。

<区別する意味>
なぜ、インサイダー取引と法人関係情報の区別を、私はうるさく指摘するか。それは、インサイダー取引規制は、国内外を含めあらゆる人に適用されますが、法人関係情報管理規定は、証券会社(金融商品取引業者等)にのみ適用される規定で、性質がまったく異なるからです。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

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JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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