不動産会社と金融行政(1)


現在、証券取引等監視委員会(財務局)は、不動産会社に集中的に検査に入っています。地元で不動産(現物)の媒介しかしていない第二種金融商品取引業者にも検査を実施しています。

「金商業は何もしていないので、うちは大丈夫!」と思われた方。

その考え方は危険です。

以前にも書きましたが、金融庁は、登録後3か月たっても金商業をしない会社の登録を取り消すことができます。だから、登録を取り消されても良いと考えている会社でない限り、「何もしていない」は、相当まずい状況だと理解しておかなければなりません。

私は、金商法施行当時から、日本全国で数多くの研修やセミナーの講師をしてきましたが、一般的な傾向として、不動産会社の方は、「金融」の仲間入りをしているという意識が希薄であると感じます。

例えば、不動産信託受益権。不動産信託受益権は、現物不動産と違い、金融商品色が強いです。なぜなら、誰もが金融商品と認める投資信託と仕組みが似ているからです。

ところが、不動産関連の金商業者の方は全く違う見方をします。「いやいや、不動産信託受益権は、たまたま信託登記されているだけで、現物と何も変わらないよ」というわけです。

でも、不動産信託受益権は、「不動産」ではなく、不動産から生じる収益の「分配請求権」であって、不動産とはまったく別物です。現物とは似ても似つかないわけです。

だから、不動産信託受益権の売買業者は、金融商品取引法に基づき金商業者の登録を受ける必要があり、金融庁の管轄のもとで管理監督される必然性があるのです。

そして、金融庁の管轄に入ると、必ず(例外はありません)、証券取引等監視委員会(財務局)の検査を受けることになります。

したがって、検査対策が必須になるのですが、金融に慣れきっている証券会社が日夜検査対策をしているのに、慣れていない不動産会社はやろうとしない傾向にあります。

これは、客観的に見れば、異常な事態ですよね。

よく、金融商品取引業者である不動産会社のコンプライアンス担当の方から、「社長に何度言っても検査の怖さを理解してもらえない」と聞かされますが、金融行政においては、検査の結果、簡単に業務停止を命じられ、役員報酬は減額され、それどころか解雇を命じられることがあります。

また、表には出てきていませんが、コンプライアンス担当者も解雇させられるケースが目立ちます。

一般論としまして、金商業者である不動産会社は、金融行政の枠組みに組み込まれてしまっているんだ!ということを強く意識すべきです。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

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JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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