不動産関連特定投資運用業の業務の種別


最近、不動産関連特定投資運用業の相談が急増しています。

<不動産関連特定投資運用業>
不動産関連特定投資運用業は、顧客の資産を不動産信託受益権か不動産信託受益権に投資することを出資対象事業とする組合出資持分で運用する投資運用業のことです。

なお、現物不動産で運用する行為は、金商法の範囲外ですので、不動産関連特定投資運用業ではありません。

不動産関連特定投資運用業には、大きく分けて3つの種類があります。

<投資一任契約型>
一つは、顧客と投資一任契約を締結して、契約に基づく運用権限の行使として、顧客資産を不動産信託受益権等で運用するものです。

投資一任契約とは、顧客と金融商品取引業者の間の契約で、顧客資産の運用権限を金融商品取引業者に委託し、受託した金融商品取引業者が運用を行うことを内容する契約です。

投資一任契約に基づき運用を行うためには、不動産関連特定投資運用業に係る登録が必要です。

<自己運用型>
自己運用型は、自ら顧客資産を不動産信託受益権等で運用する行為です。有価証券で運用を行うことになるため、投資運用業に係る登録が必要です。

投資一任契約型と自己運用型の違いとして、自己運用型は「主として」有価証券で運用する場合にのみ適用されるのに対して、投資一任契約型は、少しでも(0.01%でも)有価証券で運用する場合にも適用される点が挙げられます。

<適格投資家型>
以上の分類とは異なりますが、顧客を適格投資家(適格機関投資家ではありません)に限定して行う投資運用業があります。実務的な事例は少ないと考えられるので、説明を省きます。

<総合不動産投資顧問業>
不動産関連特定投資運用業に係る登録を受けるためには、一般的に、総合不動産投資顧問業の登録を受けなければならないと考えられています。

実務的には、宅建業法に定める一任代理の認可を受けても、不動産関連特定投資運用業に係る登録を受けることが可能です。ただ、一般に、不動産に係る私募ファンドの運用を行うためには、総合不動産投資顧問業の登録が、REITの運用を行うためには、一任代理の認可を取るのが実務のようです。

<投資運用業の特徴>
投資運用業は、証券会社である第一種金融商品取引業と同じ規制が適用される場面があります。

まず、組織要件。投資運用業に係る登録を受けるためには、取締役会設置会社等、内部統制が期待できる組織体制(経営体制)であることが求められます。証券会社と同じです。

次に、資本金要件。投資運用業に係る登録を受けるためには、50百万以上の資本金が必要です。証券会社の最低資本金要件と同じです。

また、投資運用業に係る登録を受けると、証券会社同様、兼業規制が適用されます。ここは、勘違いしやすいところですが、兼業規制といっても、投資運用業者も証券会社も、原則、兼業は自由です。平成10年商取引法改正までは、証券会社は原則とし兼業禁止でしたが(専任義務)、以降は、兼業は事由が原則です。

自由なんだけれども、投資運用業者は、顧客資産を裁量で運用できるという権限が与えられることから、顧客資産を棄損するようなことがあってはならないという理由から、兼業規制がかけられています。

<兼業の種類>
一般的に、投資運用業者の業務は、証券会社同様、次の4つに分類することができます。

1 投資運用業という本業(本来業務あるいは固有業務)

2 本来業務に付随する業務(付随業務)

3 内閣総理大臣に届出を行う必要がある業務(届出業務)

4 内閣総理大臣から承認を必要とする業務(承認業務)

本来業務は説明不要でしょう。

<付随業務>
金商法35条1項各号に掲げられる業務が一般的に付随業務と言われますが、各号は限定列挙ではなく例示列挙ですから、本来業務に付随すると考えられる業務は、すべて付随業務です。

<届出業務>
届出業務は、限定列挙です。金商法35条2項及び関連内閣府令に掲げられている業務のみが届出業務です。

届出業務は、開始したら遅滞なく内閣総理大臣(実務的には金融庁又は財務局長)に届出を行う必要があります。もっとも、実務的には、開始する前に、金融庁に事前相談してから、開始するという手続きが採られています。

届出業務の届出は、届出書の他に、届出業務に関する業務方法書とリスク管理規程を添付資料として提出します。

<承認業務>
付随業務にも届出業務にも該当しない業務が、承認業務です。金融庁又は財務局長の事前の承認がなければ、開始することができない業務です。本来業務を圧迫しかねないと考えられる業務が承認業務です。

不動産関連特定投資運用業の場合、例えば、不動産鑑定業務が承認業務になります。

不動産信託受益権や不動産信託受益権に対する投資を出資対象事業とする組合出資持分による顧客資産の運用(本来業務)以外の業務は、付随業務、届出業務、承認業務のいずれかに該当します。例外はありません。

不動産関連特定投資運用業に係る登録を申請する申請者は、宅建業者の出身が多いため、「自社が行える業務の4つの分類のいずれしかない!」ということにピンとこない方が散見されますが、4つのいずれかに分類できない業務は存在せず、もし、いずれにも該当しない業務を行えば、即、金商法違反です。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
http://office-jsl.com/

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お問い合わせは、お問い合わせフォームで受け付けます。

<主な業務>
主な業務は、主な業務をご覧ください。

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