変更登録の期限まであと4か月


平成26年改正金商法の施行から2か月が経ちました。

今回の内容は、ネットに有価証券、特に、不動産信託受益権やファンドの情報を掲載している金商業者の方には重要ですので、あらためて確認するようにしてください。

<不動産信託受益権やファンド情報のネット掲載>
平成26年改正金商法に基づき、「電子募集取扱業務」を行う金商業者の方は、例外なく、施行から6か月以内、つまり、平成27年11月までに「変更登録」の申請手続が必要です。(金商法第31条第4項、金商法施行令附則第2条第1項)

これをやらないと、ネットに有価証券の情報を掲載できなくなります。

具体的には、信託登記されている不動産信託受益権の情報をネット上に掲載したり、ファンドの情報をネット上に掲載している金商業者を直撃します。

ここで、前提知識として、「電子募集取扱業務」と「変更登録」の意味を理解しておく必要があります。

<電子募集取扱業務>
「電子募集取扱業務」とは、金商法第3条各号に掲げる有価証券(不動産信託受益権や事業型ファンドなど)又は上場有価証券以外の有価証券(証券投資型ファンドなど)について、ネットで募集の取扱い(取得勧誘)を行うことです。(金商法第29条の2第1項第6号)

ただし、国債、地方債、政保債、有価証券届出書が提出されている有価証券、50%超を金銭の貸付けで運用する事業型ファンドなどの募集は、電子募集取扱業務から除かれます。(金商法施行令第15条の7)

読みにくい規定ですが、ネットに有価証券情報を掲載している金商業者の方は、必ず、条文を確認してください。

なお、一項有価証券の場合、ネットに載せてしまうと、募集になり、一般的に有価証券届出書が提出されますので、実務的には、二項有価証券の販売に関する業務の話です。

もっとも、有価証券届出書の提出又は発行登録がされていない一項有価証券の情報をネットに掲載する行為は、電子募集取扱業務になります。

<変更登録>
「変更登録」とは、従来の業務に追加して新たな業務を始めるときに行う登録申請手続のことです。申請手続で、届出(事後)ではないため、当然、事前手続であり、金融庁の審査を受けます。

提出書類は、原則として、以下の通りです。(金商業等府令第22条第1項及び第2項)

1 変更登録申請書
2 変更内容・理由書面
3 会社誓約書
4 業務方法書(変更後のもの)
5 人的構成に係る書面
6 役員・政令で定める使用人の履歴書
7 役員・政令で定める使用人の住民票抄本
8 役員・政令で定める使用人のないこと証明
9 役員・政令で定める使用人の誓約書
10 特定関係者に係る書面(最新版)
11 最終の貸借対照表

ネットに有価証券情報を掲載している(ネットで取得勧誘を行っている)金商業者の方は、この手続をしないとできなくなってしまうので、変更登録申請が必要か否かにつき、あらためて確認するようにしてください。

<不動産と不動産信託受益権>
余談ですが、不動産信託受益権の場合、信託財産である不動産の物件情報と不動産信託受益権の情報とは意味が違います。不動産信託受益権とは、受益者が受益者に対して所有する配当・分配支払請求権という金銭債権だからです。

このように考えると(考え方は正しい)、信託登記された不動産であっても、信託財産である不動産の物件情報をネットで公開することは電子募集取扱業務に該当しないことになりそうですが、こう考えてしまうと、実務感覚的に不自然ですし、物件情報の記載が義務付けられている前書面の規定が宙に浮いてしまいそうですから、信託登記された不動産の物件情報をネットに掲載すれば、電子募集取扱業務があったと考えるのが妥当です。


テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
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