社内研修はなぜ重要なのか


7月13日のメールマガジンからの抜粋です。



昨日は、かすみの会でした。かすみの会をご存知ない方のために、かすみの会とは何かをお話すると、3年以上前から毎月1回のペースで開催している投資助言業者のコンプライアンス担当者の勉強会です。

参加資格は、投資助言業者として登録を受けていることで、二種や運用(いれば一種でも)を兼業していても構わないとしています。

かすみの会は、もともと、私と友人の行政書士の2人で、助言業者のコンプライアンス担当者は、共通の疑問や悩みを持っていることから、助言業者のコンプライアンス担当者の横のつながりを作る場を提供しようという趣旨で始めたものです。私は、オブザーバーとして参加しています。

毎回、テーマを決めて、テーマに関して、各々の助言業者のコンプライアンス担当者が、自社の事情を話したり、お互いに質問をしたりしながら進行します。

昨日のテーマは、「社内研修」でした。昨日も、良い事例が参加者から出されました。かすみの会は、各社の事情を話すため、完全にオフレコの会としていますので、昨日話し合われた内容の細かい話はできませんが、例えば、社内研修の頻度として年12回(毎月)という会社があったり、面白い社内研修の方法を採用している会社があったりと、すべての金商業者に、真似して欲しい話が出ていました。

私が、現役のコンプライアンス担当者だったときに、社内研修の講師として行った社内研修の方法の一つを紹介すると、まず、役職員に10問の小テストを受けてもらい、小テストの後、解答と解説をするという社内研修を好んで実施しました。

小テストを作るのは正直面倒でしたが、話を聞いているだけでは退屈な人も、問題を解くこと(謎解き)は好きである場合が多いので、まず、謎解きをさせて、次に、解答・解説に進むと、役職員は退屈しないどころか、真剣に聞くのできちんと理解するという理想の社内研修を作ることができます。

社内研修は、平成27年5月29日以降、金商法第35条の3、金商業等府令第70条の2で、実施が義務付けられていますが、法令で義務付けられていなくても、コンプライアンス活動として、非常に重要です。

コンプライアンスとは、起きてしまった法令違反をどう処理するかを考える活動ではなく、法令違反が起きないように事前に対策を立てる活動ですから、社内研修を実施して、役職員に法令諸規則を理解させ、役職員に自らコンプライアンス上の問題を発見できる能力を身につけさせることは、極めて重要なコンプライアンス活動なわけです。

ここで、「役職員」と言っている点に注意。

社内研修は、従業員ばかりではなく、代表取締役等、役員も参加が必須です。役員が参加しない社内研修などあり得ません。なぜなら、役員、特に、代表権がある役員こそ、法令諸規則を理解して、間違っても法令諸規則違反をしないことが求められているからです。

社内研修については、よく、「回数」について質問されますが、最低年4回、できれば、毎月実施でしょう。

ここで、社内研修とは、集合研修ばかりでなく、例えば、オンライン研修も社内研修の一つの方法として含まれます。私が、現役のコンプライアンス担当者だったときには、自分で社内研修のシステムを組んで、オンライン研修を実施したものです。オンラインだと、就業研修と違い、役職員がいつでも受けることができる便利さがあります。

就業研修の場合、一番注意すべきは、時間です。私の場合、外部の専門家なので、金商業者から社内研修の実施を依頼されると、90分以上時間を使うのが普通ですが、例えば、コンプライアンス担当者が講師をして、90分以上もの間、役職員の注意を引きつけることは、まずできません。

私が、現役のコンプライアンス担当者だったときには、社内研修の時間を、質疑応答を入れて、30分と決めていました。これなら、役職員の集中力も維持できます。

社内研修の代替として、社外の研修、例えば、協会の研修に役職員を参加させている金商業者がいますが、これは、社外研修であって、金商法が求める社内研修ではありません。社外研修は、もちろん、大切ですが、法令上、金商業者に実施が求められているのは、社内研修であって、社外研修ではありません。

内部監査と外部監査がまったく意味が異なるように、社内研修と社外研修は、まったく意味が異なります。社外研修と違い、社内研修は、会社特有の事情を考慮して実施されます。

例えば、特別の利益の提供の禁止規定に関する研修を実施する場合、社外研修では、特別の利益の提供の意味や、禁止される趣旨などを話すことになりますが、社内研修では、各社の業務に応じた、具体的な未然防止策を話すことになります。

「社内研修のテーマがない」という声をよく聞きますが、禁止行為(金商法第38条)はいくつもあるし、助言業者と運用業者は、さらに禁止行為が多いし、社内規則もあるし、監督指針も検査マニュアルもあるしで、毎月実施しても1年で終わりません。



ブログの更新は基本的に停止しています。代わりに、金商業者の役に立つ情報を、無料のメールマガジンで送信しています。

メールマガジンのお申し込みはこちらから

お申込みの際のメールアドレスは、必ず、所属する会社のメールアドレスを使用してください。それ以外のメールアドレスでの申込みは一切受け付けません。

また、読者の数があまりにも多くなってしまい、配信が困難になっていますので、お申込みは、金商業者の方、金融庁・証券取引等監視委員会・金融商品取引業協会などの方に限らせていただきます。



テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
http://office-jsl.com/

<お問い合わせ>
お問い合わせは、お問い合わせフォームで受け付けます。

<主な業務>
主な業務は、主な業務をご覧ください。

ブログの内容は個人的見解ですので、正確性は保証いたしません。また、ブログの内容に関する質問を含め、質問には一切回答いたしかねますので、ご了承ください。

プライバシーポリシー

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Translation
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード