株式会社CELLに対する行政処分勧告


11月25日、証券取引等監視委員会は、株式会社CELL(「同社」)に対し、行政処分をするように、金融庁に勧告しました。処分勧告の原因となった法令違反は以下の通りです。

<虚偽告知>
1 仕手筋情報、ヘッジファンド介入情報がなかったにもかかわらず、ある旨を見込客に送るメールに記載していた

(具体例)
≪仕手筋『●●会』が介入している≫との情報を入手しており、急騰の可能性も大と言える情報です。

【緊急極秘案件】某証券会社から直接入手!ファンド介入銘柄 上昇前に先回りしてひたすら仕込むべし!!!

2 契約者の人数を限定する意思がないにもかかわらず、メールに「先着○名様」と記載していた

<断定的判断の提供>
「必ず○万円の利益!」など必ず利益が上がる旨を見込客に送るメールに記載していた

虚偽告知の指摘で注意したいのは、「仕手筋やヘッジファンドの介入があったとしているが、実際にはなかった」という指摘ではなく、「仕手筋やヘッジファンドの情報がなかったにもかかわらずあるといった」という指摘である点です。

かりに、実際、仕手筋やヘッジファンドが介入していたとしても、同社は、行政処分勧告の対象になっていたということです。

<個人投資家の方へ>
株式助言業者のサイトを見ると、虚偽告知や断定的判断の提供をしているサイトが散見されます。

だから、個人投資家は、違法行為を行う助言業者と助言契約(投資顧問契約)を締結しないようにしなければならないわけですが、助言業者を選ぶにあたっては、以下の選定基準を参考にしてみてはいかがかと思います。

1 HPに断定的な表現はないか
「必ず、儲かる!」というストレートな表現でなくても、「株価倍増は確実!」とか「急騰必至!」といった表現を使っている助言業者との契約は注意する

2 HPに虚偽告知をしていないか
「インサイダー情報を入手!」とか「100連勝中!」といった表現を使っている助言業者との契約は注意する

3 HPにリスク文言は掲載されているか
HPに市場リスクや信用リスクに関する記述がない助言業者との契約は注意する

助言業者は、HPのみならず、広告をする場合には、広告に、リスク文言を記載しなければなりません。(原則)

だから、HPにリスク文言がない助言業者との契約は避けるのはもちろんのこと、パンフレットやメールマガジンにリスク文言がない助言業者との契約には注意する必要があります。

4 HPに過去の(更新前の)契約締結前交付書面は掲載されているか
過去の(更新前の)契約締結前交付書面をHPに掲載していない助言業者との契約は注意する

助言業者が、顧客と投資顧問契約を締結するときには、締結する前に、顧客に「契約締結前交付書面」という書面を交付する義務があります。(原則)

ネット上で投資顧問契約を締結することができる仕組みにしている助言業者の場合も同じで、助言業者は、顧客との間で投資顧問契約が成立する前に、契約締結前交付書面を顧客に提供する義務があります。

さらに、ネット上で投資顧問契約を締結することができる仕組みにしている助言業者の場合、過去の(更新前の)契約締結前交付書面をHPに掲載しなければなりません。だから、過去の(更新前の)契約締結前交付書面をHPに掲載していない助言業者との契約は注意です。

助言業者との投資顧問契約を解除したい人は、クーリングオフ期間であれば、契約を解除することができます。

クーリングオフ期間は、10日間です。起算日は、「顧客が投資顧問契約を締結した日」ではなく、「顧客が契約締結前交付書面を受け取った日」です。ですから、契約締結前交付書面を助言業者から受け取っていない人は、いつでも、契約を解除することができます。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
http://office-jsl.com/

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