平成21年改正金融商品取引法(23)


転売制限と外国証券情報につきましては、現行の制度に引きずられたご質問を受けることが多いので転売制限と外国証券情報を現行制度と比較しながら、まとめて見ます。

<現行制度の忘却>
現行制度のもとでは、「海外発行有価証券の少人数向け勧誘」において、一定の条件を満たし、「外国証券内容説明書」を顧客に交付すれば、転売制限がつかないという規定があります。海外発行有価証券の少人数向け勧誘とは、要するに、外国で発行されて外国で流通している有価証券を指します。

現行の制度では、外国で発行されて外国で流通している有価証券は、金融商品取引法の適用を受けないで売買されていますので、これを国内に持ち込むときに特別なルールを設けています。特別なルールを設けないと、有価証券届出書も提出されず、私募の転売制限もないという「譲渡制限のない海外発行証券」になってしまい、国内投資家の保護に支障をきたすからです。

現行の特別なルールの原則が「一括譲渡制限(非居住者に譲渡する場合を除く)」という転売制限です。例外は、一定の条件を満たして外国証券内容説明書を投資家に交付したときの転売制限不要の場合です。

複数の方が混乱されていますので最初に。以上のルールは完全に忘れてください。忘却の彼方に追いやってしまってください。ここから始めないといつまでも混乱が収まりません。

<転売制限>
現行制度は、発行市場(プリマリーマーケット)と流通市場(セカンダリーマーケット)のルールを分けていました。つまり、発行市場にはプロ私募と少人数私募がありましたが、流通市場にはそのような区分はありませんでした。

改正金融商品取引法は、発行市場のルールを流通市場にも適用しました。つまり、流通市場にプロ私売出しと少人数私売出しの制度を取り入れました。

<プロ私売出しの転売制限>
プロ私売出しは既発の外国証券を適格機関投資家のみに流通させるための制度です。「適格機関投資家以外の投資家に譲渡することができない」という転売制限を商品説明書に記載しないと売却することができないと規定しました。(法23条の13・1項)この制限は、プロ私募(発行市場)の転売制限と同じです。

なお、ここも誤解されている方が散見されますが、既発の外国証券を転売する際に、転売制限を商品説明書に記載しなければならないというルールは、証券会社のみに適用されたルールではありません。証券会社から購入した適格機関投資家、または直接海外から購入した適格機関投資家にも適用されるルールです。

プロ私売出し(プロ私募も同様)で外国証券を買付けた適格機関投資家は、証券会社に譲渡するときでも、他の適格機関投資家に譲渡するときにも、転売制限を記載した商品説明書を交付することが義務付けられていますので、注意してください。この点は、現行制度も同じです。違反すると、中略しますが、結局、開示規制違反になりますので、5年以下の懲役も条文上はあり得ますので気をつけなければなりません。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

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JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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