号外:最近の当局検査


とても興味深い検査結果が公表されていましたので号外を書いています。

<ファイナンシャルプランナー>
北海道財務局が、3月16日に金融商品仲介業者に対して処分を公表しています。会社名からすると、ファイナンシャルプランナーの会社のようです。

同社は、金融商品取引仲介業者として登録を受けていたということです。金融商品仲介業とは、基本的に、証券会社のために、有価証券の売買の媒介を行う業務を指します。同社は、有価証券の売買の媒介の他に、顧客の金融資産のポートフォリオの分析や構築などを行っていたようです。同社は、また、ポートフォリオの分析にあたり、金融商品の銘柄や購入時期などを提案していたとのことです。

この行為、つまり、顧客の資産のポートフォリオの分析の中で、金融商品の銘柄や購入時期などを提案していた行為は「投資業現業務」にあたり、投資助言・代理業の登録を受けていなかったことは、無登録営業であるという指摘が一つです。

また、同社は、証券会社から委託されてもいないのに、私募ファンドなどの商品内容の説明を行っていました。この行為は、金融商品仲介業者の業務の範囲を逸脱しているという指摘がもう一つの指摘です。

結果、同社は登録取消し処分を受けました。登録取消し処分を受けてしまったので、同社も同社の取締役も5年間は登録することができません。また、同社の代表取締役は、どこかの証券会社に勤めていたことがあったものと見られ、外務員の資格保有者だったため、日本証券業協会は、外務員の登録を取り消しました。同社は、日本証券業協会の会員ではなかったにもかかわらずです。

<今回の事例で明らかになったこと>
今回の処分の結果、ファイナンシャルプランナーが顧客資産のポートフォリオを分析して、具体的に何をいつ買ったら(あるいは売ったら)良いかを助言する行為は、投資助言・代理業に該当することが明確になりました。

おそらく、ファイナンシャルプランナーの方の中には、既に投資助言・代理業の登録を受けている方もいらっしゃると思いますが、投資助言・代理業の登録を受けないで「ポートフォリオの改善!」ということで、具体的な金融商品を口にすると、無登録営業ということになり、最悪の場合3年の懲役になりますので、注意が必要です。

<特例業務届出者に対する検査>
証券取引等監視委員会の公表によれば、現在、証券取引等監視委員会か財務局かわかりませんが、特例業務届出者に立ち入り検査を実施しています。金商法上、確かに特例業務届出者に対しても、立ち入り検査が可能になっていますが(法63条8項)、個人的には報告書を求めること(法63条7項)はあっても、立ち入り検査はないと見ていました。特例業務届出者に適用される規制の数が極端に少ないからです。

金融商品取引業者等と特例業務届出者あるいは法附則48条に基づく業者の数は、1万者近いと聞いています。金融商品取引法施行前には、証券取引法に基づき登録していたのは証券会社等のみで、証券会社の数は、安定的に(?)300社程度しかありません。残り数千社は証券会社以外の者だということです。このため、証券取引等監視委員会の検査官の数も、証券会社対応班からその他の班の方が増えていると聞いています。特例業務届出者に立ち入り検査が入っているということは、以前からお話している通り、規模の大小かかわらず、立ち入り検査が入ることを意味しています。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

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JSL行政書士事務所代表
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