平成21年改正金融商品取引法(24)


前回の続きで、平成21年改正金融商品取引法の転売制限と外国証券情報のまとめです。

<少人数私売出しの転売制限>
少人数私売出しは既発の外国証券を50名以上に流通させないための制度です。少人数私売出しを行う証券会社は、所有者の数が50名以上とならないように、「所有者は一括して譲渡する以外の譲渡ができない」(一括譲渡制限)という転売制限か「所有者は有価証券を分割してはならない」(分割禁止制限)という転売制限のいずれかを商品説明書に記載しないと売却することができないと規定しました。(法23条の13・4項)この制限は、少人数私募(発行市場)の転売制限も同じです。

一括譲渡制限を使用する場合、証券会社は所有者の数が50名以上とならないように49人管理をしなければなりません。分割禁止制限を使用する場合、証券会社は有価証券の最小単位の数が50単位以上にならないように、49単位管理をしなければなりません。

なお、ここも誤解されている方が散見されますが、既発の外国証券を転売する際に、転売制限を商品説明書に記載しなければならないというルールは、証券会社のみに適用されたルールではありません。証券会社から購入した者、または直接海外から購入した者にも適用されるルールです。

少人数私売出し(少人数私募も同様)で外国証券を買付けた者は、証券会社に譲渡するときでも、その他の者に譲渡するときにも、転売制限を記載した商品説明書を交付することが義務付けられていますので、注意してください。この点は、現行制度も同じです。

<外国証券情報>
忘却の彼方へ追いやってくださいと前回お話した現行制度は、外国で流通している有価証券(外国証券)を国内の投資家に販売する際には、転売制限をつけるか、(一定の条件を満たし)外国証券内容説明書を顧客に交付するかのいずれかです。(証券会社又は適格機関投資家に販売するときは例外あり。)

なぜ、この現行制度を忘却の彼方へ追いやることが必要かというと、4月1日以降、外国証券を国内の投資家に販売する際には、転売制限をつける以外の方法がなくなることが一点目、2点目として、その裏返しとして、外国証券内容説明書がなくなるからです。

外国証券情報という概念が4月1日以降に導入されますが、これは「売出し」のときに必要な情報ですから、外国証券内容説明書とは違います。

繰り返しになりますが、現行の売出しは、有価証券届出書を提出するか発行登録制度を利用するか、いずれにしても「法定開示」が必要です。4月1日以降売出しは、1.法定開示が必要な売出し、2.法定開示不要で外国証券情報の提供が必要な売出し、3.法定開示不要でかつ外国証券情報の提供も不要な売出しの3つに分類されます。

1.は現行制度のことです。2.は、①価格の容易取得、②外国での継続取引、③財務情報公表を満たした外国証券の売出しに該当するもので、3.は2.のうち、外国国債、外国地方債、外国政保債の3つにのみ適用される制度です。

以上の分類と理解は、もう問題ないですよね。不安のる方は、もう一度、振り返ってこのシリーズをご覧ください。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

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JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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