平成21年改正金融商品取引法(27)


改正金融商品取引法の施行日から2週間以上が過ぎましたが、まだ、質問が途絶えません。改正金融商品取引法は、あまりに複雑すぎるからです。理解するためには、できるだけ単純化して覚えることをお勧めします。単純化が危険なのは、漏れがあることがですが、大枠を理解できずに詳細を理解することは不可能ですので、まずは、単純化して覚えることが大切です。

<既発外国証券の販売類型>
単純化の第一歩は、外国証券の販売類型を覚えることです。このブログでも繰り返しお話してきましたが、外国証券の販売類型は次の7つのいずれかです。
① 法定開示が必要な売出し(大原則の売出し)
② 法定開示は不要だけれども外国証券情報の作成・提供が必要な売出し
③ 法定開示も外国証券情報の作成・提供も不要な売出し
④ プロ私売出し
⑤ 少人数私売出し
⑥ 特定投資家私売出し
⑦ 売出しに該当しない取引

<販売類型の典型事例>
それぞれの販売類型の典型事例として以下のものが考えられます。番号は、上に書いた番号に符合しています。
① 外国企業が発行するユーロ円債の販売(50人以上に対する勧誘)
② 外国政府や外国企業がグローバルに発行する債券全般(外国でも日本でも取引されるもの)
③ 外国政府が発行する債券(米国債など)
④ 適格機関投資家のみに販売するユーロ円債
⑤ 50人未満に対するユーロ円債の販売や発行総額÷額面<50のユーロ円債の販売
⑥ 邦銀が海外で発行している(一部の)優先出資証券
⑦ 外国証券業者が国内の金融機関に対して行うユーロ円債の販売や証券会社の卸し販売

<条件や例外は後から考える>
ここまで、大丈夫でしょうか。実務に当たっては、まず、自分が販売しようとする外国証券が、上の①から⑦のどれに当たるのかを理解することから始めます。急に応用を考えずに、まず、基本から考えることが大切です。①から⑦が原則です。

まずはどの原則に該当するかを考えてから、次に、条件や例外を確認する。この順番、つまり、「原則」から「条件・例外」の順番で考えれば、間違えることはまずありません。

混乱されている方の多くは、いきなり、条件や例外を考える傾向があります。例えば、「2社以上の証券会社が取引していると日本証券業協会が公表しているという条件を満たしていれば、外国政保債の販売は③にあたる」と考えるように、まず、「条件」を考えて、次に「原則」を考えるから混乱する方を見かけます。逆です!

「原則」は①から⑦です。条件や例外は、広い意味で、原則に対する「例外」です。普段は、原則から考えて例外を覚える方であっても、今回の改正金商法については、「例外」から考えてしまう方が多いです。理由は、条文の書きぶりが「例外」から「原則」という書き方になっているからでしょう。

違うんです。①から⑦が原則なんです。条文を真っ直ぐに考える方や実務を知らない弁護士の説法を聞かされてしまった不運な方は、「一定の条件を満たさなければ①から⑦に該当しないじゃないか!」と考えてしまいがちです。違うんです。①から⑦が「原則」で、条件も(もちろん例外も)「例外」なんです。この考え方を身につけると、改正金商法で混乱しなくなります。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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