コンプライアンス担当者に求められるもの


普段、多くの方々から質問を受けますが、中でも、投資助言業務をされている会社と第二種金融商品取引業をされている会社のコンプライアンス担当者からの質問が多いです。質問の内容は多岐にわたります。質問の共通点ではありませんが、ご質問されてくるコンプライアンス担当者に共通していることは、コンプライアンス経験がないか短いという点です。そこで、一日の長はありますので、今回はコンプライアンス担当者として大切な点についてお話します。

<最も重要なこと>
コンプライアンス担当者は、コンプライアンス・オフィサーと呼ばれることがあります。(本筋から外れますが、コンプライアンス・オフィサーは登録商標です。一般名詞の登録商標はできないのですが、登録された頃は、一般名称と認められていなかったのでしょう。ちなみに、私はコンプライアンス・コンサルティング・センターという商標を登録しています。)

私は、新任あるいは経験の浅いコンプライアンス担当者に「コンプライアンス担当者として何が最も大切だと思うか」という質問をします。「法律をよく読み理解すること」「わかりやすく説明すること」「取引の知識を増やすこと」など、回答は色々出てきます。どれも大切なことには違いありませんが、一番大切なことと言われれば「聴くこと」です。コンプライアンス担当者にとって、これ以上大切なことはないと断言できます。

<聴く技術>
聴くということは、コンプライアンス担当者から回答が欲しいと考えている相手の言葉にきちんと耳を傾けることです。ただ耳を傾けるだけでなく、うなずいたり、相槌を入れたりして、相手の話を促すことに繋がりますので、うなずきや相槌も聴くための重要な技術です。

聴く技術の中で最も重要なことは、相手の話に否定的な言葉を返さないことです。「でも」「しかし」「けれど」など、相手の言葉を否定する言葉は、相手の話を聴くときには絶対に使ってはいけません。相手の言葉を否定することになるからです。

否定されると、相手は萎縮するか攻撃的になるかのいずれかとなり、いずれにしても、相手から正しい情報を収集することが難しくなります。正しい情報を得られない限り、コンプライアンス担当者が、相手の要求に正しく回答することは不可能です。

特に、「でも」は口癖になっていて、自分でも「でも」と言っていることに気づかない人がいますので、要注意です。皆さんに、機会があるとき、自分が「でも」と言っていないかどうか、周りの人に聞いてみることをお勧めします。

<コンプライアンスと聴く技術>
聴くことの重要性は、本当は、コンプライアンス担当者に限った話ではありません。コーヒーを飲んでいるときのおしゃべりや、食事のときの会話でも、聴くことは大切です。繰り返しますが、聴くことを拒絶されると、つまり、「でも」「しかし」「けれど」と会話の相手から言われると、言われた人は、意識的にせよ無意識にせよ、自分が否定されたと感じて、萎縮するか攻撃的になります。こうなると、会話の相手の真意がわからなくなってしまいます。

「上手に聴きたい!」と思われる方には、プロカウンセラーの聞く技術が絶対のお勧めです。私は、何度も読み、反省し、また読み返し、聴く技術を鍛えています。

役職員の要求が何であるかを正確に理解することは、実は、普通に考えるより大変なことです。コンプライアンス担当者は、普段の会話と違って、相手の言っていることを(なんとなくではなく)正確に把握しないと、正しい助言ができません。これは経験しないとわからない部分もありますが、とにかく、コンプライアンス担当者に最も重要な能力は相手の話を聴くことにあるというのは真実です。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
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