日本振興銀行事件


日本振興銀行が揺れています。報道によると、金融庁の検査の前後に、電子メールを大量に消去して証拠隠しをしたということですが、電子メールの消去は一つであっても検査妨害です。行政処分は当然ですし、刑事告発もうなずけます。

もっとも、日本振興銀行の問題は検査妨害・検査忌避ではなく、銀行という隠れ蓑を着た高利貸し屋による前代未聞の事件ですので、出資法違反によって、銀行や経営者がどのような刑事罰を受けるのか、決着が付くまで見守っていきたい案件です。

貸金業者から金銭債権を買い付け、一定時期になると売り戻すことによって、貸金業者の資金繰りを助けたという話で、それは何の問題もありませんが、さやを年率換算すると5割近かったというのですから驚きです。100,000,000円の資金調達なら、月額約4,000,000円の利息です。

ここは一般の方も要注意です。改正貸金業法が今週金曜日に完全施行されますが、新聞報道などで見る通り、貸金残高の年収3割規制を含め、今回の改正は失策で、ヤミ金業者が跋扈(ばっこ)することが確実です。

ちなみに、誤解をされる方がいるようですが、ヤミ金業者とは、貸金業者としての登録を受けていないのにお金を貸し付ける業者の意味ですので、必ずしも、ヤミ金業者=高利貸しではありません。

ただ、ヤミ金業者が貸し出す相手(普通の個人)の信用力、つまり、弁済能力は相当低いはずですので、それ相応の利子をもらわないと破産されたときに回収し損ねますので、どうしても高金利にならざるを得ないという、自由経済・資本主義社会では当然の現象が起き易いのは確かです。

閑話休題

では、日本振興銀行が、検査忌避をしなかったらどうなっていたでしょうか。おそらく金融庁は告発する原因を失いますので、高利貸しだった日本振興銀行に業務改善命令を出すだけで終わっていたはすです。もしかすると、業務改善命令すら出なかったかもしれません。

何を言いたいかというと、どんな悪いことをしていようとも、検査忌避はしてはいけない、検査忌避は割に合わないということです。免許剥奪処分となったCSファイナンシャル・プロダクツ銀行や、執行猶予付きの実刑判決を役員が受けた三和銀行が、検査忌避で有名(?)ですが、私の経験に照らしても、検査忌避は、発見されたときのサンクションが大きいので、経済的に割に合わないというのが実感です。

隠し通せたときのプラスの効用<発見されたときのマイナスの効用

という式が成り立つということです。

10年前の検査は凄いもので、検査期間中に風邪をひいて会社を休んだだけで「検査忌避!」と当局に言われたものですが、今は、そんなバカなことをいう検査官はいません。実質で判断されますので、金融商品取引業者は、検査忌避をして傷口を広げないようにくれぐれも気をつけるようにしたいものです。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

コメント

非公開コメント

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
http://office-jsl.com/

<お問い合わせ>
お問い合わせは、お問い合わせフォームで受け付けます。

<主な業務>
主な業務は、主な業務をご覧ください。

ブログの内容は個人的見解ですので、正確性は保証いたしません。また、ブログの内容に関する質問を含め、質問には一切回答いたしかねますので、ご了承ください。

プライバシーポリシー

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Translation
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード