未上場会社も注意!


証券取引等監視委員会は、株式会社丸美とその代表者を金融商品取引法違反(正確には、旧証券取引法違反)があったとして、検察庁に告発しました。

事件の概要は、証券取引等監視委員会のサイトに公表されています。事件は、どこの会社でもうっかりやってしまいそうなもので、債券を発行・募集したときに財務局に「有価証券届出書」を提出しなかったというものです。「有価証券届出書」を提出しないで債券を募集すると、募集した個人は最悪5年の懲役です。

<募集>
まず、募集の説明からしましょう。債券の場合、募集とは、50名以上の者に取得勧誘する行為です。取得勧誘とは、要するに「買いませんか?」と勧誘することです。「買いませんか?」と勧誘する行為が禁止されているのですから、実際に、勧誘された人が買ったかどうかは関係ありません。

「金融商品取引法は、上場会社だけに適用されるもの」と誤解を受けることがありますが、そんなことはなく、いかなる会社であっても個人であっても適用される幅広い範囲をカバーしている法律です。

今回の事件も、とにかく債券を募集する者はどんな会社でも「有価証券届出書」を提出しなければならないという基本ルールに違反した事件です。

<有価証券届出書>
有価証券届出書とは、簡単にいうと、募集する債券の内容を記載した書面のことです。実務的には、書面ではなく、パソコンなどから財務局を通じて決まったサイトに掲載します。上場会社でなくても、募集をする限り、財務局に有価証券届出書を提出しなければなりません。

<今回の事件>
今回の事件は、とても単純な事件で、会社が社債を発行して数十億円の資金を調達しようとして、宅配便を使って、約15,000名に募集要項を送ったということです。50名以上に債券を買いませんか、と勧誘してますから、有価証券届出書を提出していなければ当然アウト。告発されても仕方ありません。

<注意!>
じゃあ、50名未満、つまり、49名以下、極端に言えば1名であれば問題ないか、というとそうではないのが金融商品取引法の面倒なところ。49名以下に「買いませんか?」と勧誘する行為は「少人数私募」と呼ばれますが、法令上の文言を付した書面を交付するなど、一定の手続きを踏まないと、少人数私募とは認められません。

どうですか?金融商品取引法は、上場会社でなくても、関係してくることがお判りいただけたかと思います。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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