登録取消処分


金融庁(長官から権限委任を受けた当会財務局長)は、株式会社エマージングアセットマネジメントの金融商品取引業者としての登録を抹消しました。理由は、既に行われた業務停止命令をムシして、業務停止命令期間に業務を行っていたからだということです。詳しくは、こちらをご覧ください。

公表されている内容からは、エマージングアセットマネジメントがどうして業務停止期間中に業務を行ったのか皆目見当がつきません。

業務停止命令期間中に業務を行えば、即、登録抹消です。証券会社にとって、このことは「常識」ですが、エマージングアセットマネジメントは、商号から、金融商品取引法の施行に伴い、金融商品取引業者の登録を行った会社だろうと想像されます。そこで、同社が業務停止期間中に業務を行った理由として、以下の理由が考えられます。

1.同社は、業務停止命令を軽く見て、業務停止命令期間中に業務を行っても、登録抹消になるという常識を知らずに、注意を受ける程度だ(あるいは注意さえない)と思っていた。

2.同社は、業務停止命令期間中に行っていた業務が、停止命令の対象になっている業務だと思わなかった(勘違いをしていた)。

3.同社は、業務停止命令の意味がわからなかった。

いずれの理由であっても、外見上、業務停止命令期間に業務を行った痕跡があれば、即、登録抹消です。

登録抹消になれば、5年間は再登録できません。また、同社の役員は、他の金融商品取引業者の役員などに就任することが5年間できません。稼ぐだけ稼いだから、5年くらい業務からは離れても良いと同社の役員は考えたのかどうか、それもわかりません。

ただ一つだけ確実なのは、同社の役員は金融商品取引業者の役員という特別の地位にあることに気づいていなかったということです。数ある登録制度の会社の中で、金融商品取引業者ほど、厳しい規制を受ける業者はないといっても過言ではありません。なぜなら、金融商品取引業者とは、市場経済において、モノの流れのウラで逆方向に流れるお金の流れを左右する責任を担っている会社だからです。言い換えれば、お金の流れという日本経済の動脈の弁の役目を負っている会社だからです。

金融商品取引業者は、自身が負っている日本経済に対する重責を理解しなければなりません。

一方で、監督官庁である財務局は、登録申請を受理するに当たっては、形式的な審査ではなく、実質的な審査を行うことが必要です。登録取消処分を行った財務局は、そもそも登録手続きの段階で、登録申請を受理した責任を問われるべきであると考えます。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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