金融商品取引法雑感


今日は、余談です。金融商品取引法に関する雑感です。

以前、フランスの会社に勤めていたとき、休みを取って、明日からハワイに遊びに行こうとした日のこと、私は「では、休み中はよろしく」と部員に言って、オフィスを出た後、忘れ物に気がつき、あわてて戻りました。忘れ物とは、「証券六法」です。ハワイのホテルのビーチサイドで、のんびり、証券六法を楽しむ予定だったので、旅行に最も重要なアイテムでした。

証券六法というのは、金融商品取引法を中心として、金融商品取引業者等が知っていなければならない最低限の法令等を集めた法令集です。最新版は6,700円です。安い本ではありません。金融商品取引法の施行に合わせて2分冊になりましたので、重量も大変なものです。

証券六法と「六法」という名前がついていても、6つの法律があるわけではありません。六法全書と言っても6つの法律(憲法、民法、商法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法)しかないわけではないのと同じです。

証券六法は、私の愛読書の筆頭です。念のためですが、証券六法は法令集です。小説やノンフィクションなどの読み物ではありません。法令の説明書でもなく、法令が無味乾燥に並んでいるだけの法令集です。仕事柄ということもありますが、これを読まない日は、盆や正月でもないくらいです。ですから、当時は一分冊の証券取引法時代ですが、ハワイ旅行にも持っていったわけです。

証券取引法は、とても読み応えがあって面白かったです。サスペンス小説を読んでいるような感じでした。たとえば、相場操縦の条文。なるほど、こういう意図で相場を恣意的に動かして利益を上げようとする人がいるんだな、とわかると、ワクワクしたものでした。

よく誤解されるのが、金融商品取引法は上場企業しか関係がない、未上場企業には関係のない法律だと思われることです。これは違います。既に、募集の取扱いのところで説明しましたように、上場しているかしていないかは、金融商品取引法の適用とは何の関係もありません。未上場企業であっても、社債を私募で発行すれば、私募の規定が適用されるのですから、絶対に金融商品取引法に縛られます。

企業活動とは、資金を調達して、調達コストを上回る運用して利益を上げ、資金提供者に配当(利払い)する一連の活動のことです。この「調達」を規制する法律が金融商品取引法です。以前、中小企業の経営者向けの雑誌に、金融商品取引法の連載を書いたことがありますが、大企業であると、中小企業であるとにかかわらず、また、上場企業であると、未上場企業であるとにかかわらず、企業である以上は、かかわりがある法律なのです。

「金融商品取引法の基本がわかる本」(中経出版)は、おかげさまで、評判がよく、「感動しました」という感想を折込のはがきに書いてくださった方もいました。

これからも、わかりにくい金融商品取引法を、できるだけわかり易く解説する機会をできるだけ多く捉えて、金融商品取引法の社会への浸透に少しでも貢献できればと思います。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
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