証券化(2)


信託受益権を活用する方法が最もわかり易い資産の証券化方法だと思います。同様の効果は、TMK(特定目的会社)を活用しても得ることができますが、TMKを活用する場合、資産流動化法に基づき、資産流動化計画をあらかじめ定める必要があるため柔軟性に欠けること、また、資産流動化法に基づき発行される有価証券はいわゆる一項有価証券であるため証券会社(第一種金融商品取引業)しか取り扱えないこと、勧誘の相手方の数が50名以上の場合には開示規制に基づき開示手続が必要なことから、信託受益権(二項有価証券、第二種金融商品取引業)の方が、使い勝手の点で優れています。

余談ですが、一項有価証券は流動性があり、二項有価証券は流動性に欠けるという金融商品取引法の考え方は、実務的には必ずしも当てはまりません。この考え方は、「証券」というモノが発行されれば譲渡が容易であるという前提に基づいていますが、実際、モノの授受が行われる取引は皆無に等しいですし、流動性がある有価証券は上場株券(株式)くらいですから、立法的には、一項有価証券と二項有価証券は分けることなく、統一的に取り扱われるべきです。

また、二項有価証券は所有者ベースで人数制限が行われるのに対し、一項有価証券は勧誘ベースで人数制限を受けるのも再考を要する部分で、一項有価証券についても、所有者ベースで人数をカウントするように金融商品取引法は改正されることが期待されます。

さらに付け加えると、二項有価証券の私募における所有者制限が500名未満とあるのは、一項有価証券に合わせて50名未満に改正されなければ投資家保護にかけるおそれがありますし、主として有価証券で運用されない限り二項有価証券には開示規制が適用されないとしている現行ルールは、同様に投資家保護にかけるおそれがあると思います。

信託受益権
信託受益権に関連する用語説明をしておきますと、信託受益権を理解するためには「信託」「信託財産」「委託者」「受託者」「受益者」「委託者兼当初受益者」の6つの単語を理解しておく必要があります。

「信託」とは、一方当事者が他方当事者に資産の所有権を移転させる行為を指します。と言うとわかりにくいですので、私は、「信託する」と本来いうところを、「信託譲渡する」と言い換えています。「所有権を移転させる」ということは、通常、譲渡することですから、「信託する」というより、「信託譲渡する」という方が、信託について正しいイメージが持てると思うからです。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
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