保険選びの基準


東北大震災の被災者の住宅ローンの一部が免除されることに決まったと報道されていますが、それでは、自然災害リスクをしっかり管理して自然災害保険をかけていた人は掛け損だったことになり、不公平感が否めません。

今日は、金融商品取引法の対象商品ではありませんが、保険について考えてみます。

まず、ファイナンシャルプランナーとかアドバイザーという人の中で「あなたの収入からみると、これくらいの保険に入った方がよい」と、収入で保険料や保険金を決める人がいたら、「この人は、保険のことは何もわかっていない」と考えて間違いありません。

リスク
最初に「リスク」の話です。

報道番組やニュースでコメントされている方の発言を見聞きすると、リスクと「損失」とを同じ意味で使っているなと感じることがあります。結論から言いますと、リスクと損失とは別物です。

リスクとは、正確ではありませんが、「損失が発生する可能性」と考えて、ほぼ間違いありません。たとえば、「リスクが高い」といったときの意味は、「損失が発生する可能性が高い」という意味とほぼ同じです。損失とは、文字通り損失のことですが、「リスクが顕在化した結果」ともいえます。リスクが顕在化したとは、可能性が現実のものになったという意味です。

リスクに最も敏感でなければならない業種は、保険会社です。皆さんが掛けている生命保険は、保険会社がリスクを数量化して(数字に表して)計算し、たとえば、1000万円の保険金が支払われる生命保険なら、保険会社は1000万円を支払わなければならないリスク、つまり、被保険者が死亡するリスクを計算して保険料を決めることになります。自動車保険も同じ考え方です。なお、基本的に人に関する保険は生命保険会社が、モノに関する保険は損害保険会社が取り扱います。

統計
リスクを計算する最もオーソドックスな方法は統計を利用する方法です。たとえば、35歳男性の死亡保険の保険料を決める際には、死亡率といって、35歳男性が死亡する確率を統計的に計算して、35歳男性が死亡するリスクを計算します。(実際には、予定利率など他のリスクも計算に入れます。)

統計を利用してリスクが顕在化する確率を計算するとき、対象は大勢いなければ意味がありません。たとえば、統計的に35歳男性が70歳までに死亡する確率が80%(数字はデタラメです)だったとしても、あなたやあなたの周りの35歳男性が70歳までに死亡する確率が80%であることを意味しません。

統計的に、つまり、大勢の人を対象にして計算すると80%であっても、特定の35歳男性を見ると、タバコの吸いすぎや遺伝的な理由で70歳で死亡する確率は95%かもしれません。別の35歳男性は、毎日、ジムに通い、食生活にも注意しているため、70歳で死亡する確率は50%かもしれません。いろいろな35歳男性がいるわけで、その人たちを全体としてみると、70歳で死亡する確率が80%になるということを統計は教えてくれるだけで、個々人が70歳で死亡する確率が80%といっているわけではありません。

ということは、保険会社はできるだけ多くの人に加入してもらう必要が出てきます。統計は、「多くの人が集まるとこうなる」という数字(結果)ですから、加入する人が少ないと統計と異なる結果になるおそれがあるからです。

判断基準
以上から、保険に加入するかどうかの基準は、自分が人並みかどうかを考え、人並み以上にリスクが高いと思えば保険に加入し、人並みよりもリスクが低いと思えば保険に加入せず、保険料相当額を預金する方が良いということになります。

人並みがどうかを考える際の判断基準は「家系」です。自分は、家系的に、病気になりにくいと思えば、入院保険には入らないか、入るとしても掛け金のやすい保険に入れば十分ですし、自分は、人並み以上に交通事故を起こしやすいと思えば、自動車保険に入るというように、さまざまな場面を想像して保険選びをすれば、バランスの良い保険を選ぶことができます。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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