証券化(3)


信託受益権の続きです。

信託財産
信託譲渡される財産を「信託財産」と呼びます。不動産を信託譲渡すれば不動産が信託財産、金銭を信託譲渡すれば金銭が信託財産です。そして、実務では、信託財産の種類がわかるように、信託財産が不動産である場合を不動産信託、信託財産が金銭である場合を金銭信託と呼びます。

委託者と受託者
財産を信託譲渡する人を「委託者」と呼びます。財産の信託譲渡を受ける人は「受託者」と呼びます。

信託の仕組みの最大の利点は、受託者が信託財産をあらかじめ定めた目的にしたがって管理、処分する点にあります。

他益信託
海外ドラマで「おじいちゃんがボクに財産を残してくれたんだけど、信託されていて、ボクが18歳になるまで使えないんだ」というように「信託」という言葉が使われる台詞を聞いたことありませんか。この例だと、財産(お金ととか有価証券とか)が信託財産、おじいちゃんが委託者で、財産の所有者が受託者です。では「ボク」は誰?というと、信託から利益を受ける者ですので、「受益者」と呼びます。

深入りはしませんが、この例のように、委託者以外の者を受益者として財産が委託者から受託者に信託譲渡される信託を「他益信託」といいます。日本では「年金信託」が他益信託の代表格です。年金信託は、年金が信託財産であるわけではなく、年金は目的ですが、通常、こう呼ばれます。年金信託は、委託者が企業、受託者が信託銀行、受益者が年金受給者、信託財産は通常金銭の信託です。委託者が他人(ここでは年金受給者)なので、他益信託と呼ばれます。

委託者兼当初受益者
一方、受益者が委託者である場合を「自益信託」と呼びます。不動産所有者が、所有する不動産を信託受益権にして売却したい場合、不動産所有者が委託者、信託会社が受託者となり、当初、委託者が受益権を取得します。つまり、委託者=(当初)受益者となるわけです。

括弧書きで「当初」と書いたのは、結局、委託者は不動産信託受益権を売却してしまうので、「当初」は受益者だったという意味を強調するためです。そして、委託者が当初の受益者である場合の委託者のことを「委託者兼当初受益者」と呼びます。

受益権と受益者
なお、既に何度も使っていますが、受託者が信託財産を管理、処分して上がる収益を受け取る権利が信託の受益権、受益権の保有者を受益者といいます。

以上、信託にかかわる用語は、すべて説明しました。用語さえわかってしまえば、金融商品取引法の信託の受益権の取引規制を理解するのは簡単です。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

コメント

非公開コメント

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
http://office-jsl.com/

<お問い合わせ>
お問い合わせは、お問い合わせフォームで受け付けます。

<主な業務>
主な業務は、主な業務をご覧ください。

ブログの内容は個人的見解ですので、正確性は保証いたしません。また、ブログの内容に関する質問を含め、質問には一切回答いたしかねますので、ご了承ください。

プライバシーポリシー

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Translation
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード