売出しと私売出し(3)


証券会社の担当の方は、「少人数私売出しに関する報告書 入力要領」というモノがお手元にあると思います。そこに「有価証券種類一覧」があります。一つ一つ見ていきましょう。

第1号外国証券
資産流動化法の転換特定社債券と、外国証券で同じ性質を有するもの。要するに、海外SPCが発行する転換社債です。

第2号外国証券
資産流動化法の新優先出資引受権付特定社債券と、外国証券で同じ性質を有するもの。要するに、海外SPCが発行するワラント債です。

第3号外国証券
社債券のうち他に掲げるものを除く社債券と、外国証券で同じ性質を有するもの。これは、範囲が広いです。外国で発行され、流通している社債のほとんどが、ここに含まれます。他の何号にも該当しない社債であれば、すべてここに含まれます。

第4号外国証券
新株予約権付社債券と、外国証券で同じ性質を有するもの。要するに、海外の株式会社が発行した転換社債やワラント債(非分離型)です。

第5号外国証券
社債券のうち、社債券の発行会社以外の会社が発行した有価証券により償還される旨又は償還することができる旨の特約が付されているものと、外国証券で同じ性質を有するもの。条件として、「社債券を保有する者が当該社債券の発行会社に対し対象証券による償還を受ける権利を有しているものに限る」とあります。

改正前金融商品取引法では、この条件がついていたことから、このような社債が、他社株転換社債(Exchangeable Bond)を含むのかどうか見解が分かれていた、というより、株価によって自動的に株式償還となったり現金償還になったりするEBは入らないと考えられていましたが、金融庁がパブリックコメント回答で、「他社株転換社債を定めたもの」と回答したことから、EBを含むことが明確になりました。

第6号外国証券
社債券で、株式等の転換権以外の権利がついている社債券と、外国証券で同じ性質を有するもの。具体的に何が想定されているのかわかりません。「コール条項やプット条項、償還時の償還価格の決定にかかる条項などの償還条件なども含まれるか」というパブリックコメントに対して、金融庁は違う回答をしているため、ここには何が入るのかわからなくなっています。

実務は知りませんが、5号がEBを意味するというのであれば、たとえば、円で投資し、円高にふれると米ドルで償還される社債は、基本的な仕組みはEBと同じですから、ここに含まれることになります。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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