引受け(2)


前回の続きです。

発行者が有価証券の募集か私募を行うときには発行者に代わって、売出人が有価証券の売出しを行うときには売出人に代わって、有価証券の販売を引き受ける行為が引受けです。前回は、ここまで説明しました。

もう少し正確いうと、引受けとは、発行者が有価証券の募集か私募を行うときには発行者から、売出人が有価証券の売出しを行うときには売出人から、販売目的で、有価証券を取得する行為です。

同じ取得する行為でも、引受けには、買取引受け残額引受けがあります。前回抜粋した1号が買取引受け、2号が残額引受けです。

<買取引受け>
発行者が有価証券の募集か私募を行うときには発行者から、売出人が有価証券の売出しを行うときには売出人から、投資家に販売する(取得させる)目的で、有価証券を取得する行為が買取引受けと呼ばれる行為です。

基本的に買取引受けの場合、売残りリスクは発行者又は売出人がとります。

発行者が有価証券の募集や私募を行う目的も、売出人が有価証券の売出しを行う目的も、いずれも、資金調達にあります。

以前にもお話したように、金融商品取引法は資金調達法です。発行者は、株券や社債券を発行して、募集又は私募を行い、資金調達をします。売出人は、例えば親会社が売出人の場合、自社が保有する子会社の株券を売却して(売出しを行い)、資金調達をします。

発行者又は売出人が50億円の資金調達を計画していた場合、引受人が頑張ったんだけれども、30億円しか売れなかったので、30億円だけ取得したとき、引受人は、残りの20億円を取得する義務を負いません。売れ残り・計画倒れのリスクは、発行者又は売出人がとるわけです。

発行者又は売出人にしてみれば、50億円の資金調達を計画していたのなら、当然、50億円すべてが売れてくれるに越したことはありません。そこで、もう一つの方法が考えられました。

<残額引受け>
発行者が有価証券の募集か私募を行うときには発行者との間で、売出人が有価証券の売出しを行うときには売出人との間で、「もし、売残りが生じた場合には、売残りをすべて引き受けます」という契約を交わす行為が残額引受けと呼ばれる行為です。

ですから、残額引受けの場合、売残りリスクは引受人がとることになります。

以上が、引受けの一般的な説明です。

次に、金融商品取引業者等にとって、引受けとはどういう行為かという実務的な説明に移ります。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

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JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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