引受け(3)


前回の続きです。

引受けは、発行者又は売出人から、買取引受けか残額引受けの形で、募集・私募又は売出しの対象となる有価証券を取得する行為です。前回は、ここまで説明しました。

一般論としては、ここまで理解すれば良いのですが、金融商品取引業等の「実務」では、元引受け下引き受けを理解する必要があります。

<引受けは金融商品取引業>
元引受けの説明に入る前に確認しておきたいことは、引受けは、金融商品取引業であるという点です。金融商品取引法では、2条8項に金融商品取引業の定義がありますが、引受けは、同6号に規定されている通り、金融商品取引業です。

そして、引受けは、金融商品取引業のうちでも、第一種金融商品取引業です。そのことは、金融商品取引法28条1項3号から明らかです。

金融商品取引法28条1項は、第一種金融商品取引業を規定し、3号で引受けを規定しています。条文を抜粋しておきます。カッコ内は、私が補足したものです。

次のイからハまでのいずれかに該当する行為(は第一種金融商品取引業)
イ 有価証券の元引受けであって、損失の危険の管理の必要性の高いものとして政令で定めるもの

ロ 有価証券の元引受けであって、イに掲げるもの以外のもの

ハ 第2条第8項第6号に掲げる行為であって、有価証券の元引受け以外のもの

これでは意味不明ですので、以下、詳しく説明します。

ここからが、少し複雑になります。

<元引受け>
元引受けについては、金融商品取引法28条7項に定義があります。これを抜粋すると長くなるので、要約すると、元引受けとは、発行者又は所有者から、直接、有価証券を取得する行為のことです。ここで、発行者又は売出人ではなく、発行者又は「所有者」になっている点に注意です。

復習ですが、引受けとは、「発行者又は売出人」から有価証券を取得する行為です。これは、一般的な引受けの意味です。

そして、引受けは第一種金融商品取引業で、引受けのうち、元引受けは、「発行者又は所有者」から、直接、有価証券を取得する行為です。

なぜ、第一種金融商品取引業の引受け(元引受け)の定義においては、一般的な引受けの定義と異なり、「発行者又は売出人」ではなく、「発行者又は所有者」となっているのでしょうか。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。コンプライアンス・リスク管理コンサルタントとして、上場会社、が外資系企業など多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

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