外国証券売出し(1)


今回から、「外国証券売出し」について説明します。「外国証券売出し」は、平成21年の金融商品取引法の改正で導入された、売出しの一類型です。売出しは、反復継続されれば金融商品取引業ですので、ある意味当たり前ですが、外国証券売出しの規定が適用されるのは、売出人が金融商品取引業者等(実務的には証券会社)の場合に限ります。

外国証券売出しを取り上げる理由は、平成21年改正金融商品取引法の中で、外国証券売出しの根拠となる条文が最もわかりくいからです。

実務上、外国証券売出しを利用している事例を見たことがありますが、中には、適法性に疑問があるものが見受けられます。適法かどうかの判断がつきにくいのは、やはり、外国証券売出しの根拠規定が、わかりにくいからです。

早速、「外国証券売出し」の説明に入ります。

<法定開示の除外>
外国証券売出しは、売出しの一種です。この基本を忘れないでください。

法令上、外国証券売出しは、発行者(外国会社)にとって、メリットがあります。なお、「実務上」メリットがあるかどうかは別問題です。あくまで「法令上」「理論上」のメリットです。

まず、外国証券売出しを行おうとする発行者は、有価証券届出書を提出する必要がありません。(金商法4条1項4号)

また、外国証券売出しの発行者は、有価証券届出書を提出しないために、自動的に、目論見書の作成も免除され(金商法13条1項)、さらに、対象となる有価証券が上場される場合などを除き、やはり自動的に、有価証券報告書の提出も免除されます(金商法24条1項各号)。

<対象有価証券>
対象となる有価証券は、①外国で既に発行された有価証券か、②国内で既に発行された有価証券のうち、発行の際に国内で勧誘が行われなかった有価証券のいずれかです(金商法4条1項4号、施行令2条の12の2)。

発行の際に国内で勧誘が行われた有価証券であれば、①募集により勧誘が行われたか、②私募により勧誘が行われているはずです。募集により勧誘が行われたのなら、有価証券届出書が提出されているから、法定開示の適用を受けますし、私募により勧誘が行われたのなら、転売制限がついていますから、外国証券売出しを概念する余地がないからです。

ここまでは簡単です。

問題は、外国証券売出しの要件です(金商法4条1項4号、施行令2条の12の3各号)。要件が、実務的に複雑であることが、外国証券売出しの理解を難しくしています。

外国証券売出しの要件は、有価証券の種類によって異なりますが(全部で10種類)、まず、「海外発行債券」の要件を見て、実務に当てはめて考えてみましょう。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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