外国証券売出し(2)


前回の続きです。

<海外発行債券>
証券会社の業務では、「海外発行債券」という単語は使われません。法令でそう呼ばれているだけで、通常の業務では、外国債券と呼ばれる債券です。新株予約権付債券や他社株転換社債は除かれます。

ですから、外国で発行された普通社債、金利・為替ものの仕組債、インデックスリンク債、クレジットリンク債などが、ここでいう外国債券(海外発行債券)です。

海外発行債券の外国証券売出しの要件は次の通りです。このいずれか一つでも要件が満たされていない海外発行債券の売出しは、通常の売出し方法、つまり、有価証券届出書の提出と目論見書の作成が要求されます。なお、以下では、海外発行債券という単語を使わずに、通常通り、外国債券といいます。

<要件>
1 国内の投資家が、国内における売買価格に関する情報をインターネットの利用などで容易に取得できること

2 対象となる外国債券が外国の取引所に上場されているか、外国で継続的に売買されていること

3 外国の取引所に上場されている場合には取引所の規則にしたがって、されていないときは継続的に売買されている外国の法令に従って、企業情報が発行者によって公表されていて、国内の投資家が、インターネットの利用などで容易に企業情報を取得できること

<売買価格に関する情報>
まず、国内における売買価格に関する情報が、国内の投資家が容易に知りえる外国債券でなければ、外国証券売出しの対象にならないということです。

外国債券とは、外国で発行された金利・為替ものの仕組債、インデックスリンク債、クレジットリンク債などのことです。ノックアウトされるか、発行者がコールオプションを行使する場合でなければ、買付けた投資家が償還まで保有し続けるタイプの有価証券です。そんな有価証券に、どうして、国内における売買価格が存在しえるのでしょう。

パブリックコメント回答で、金融庁は、インターネットのみならず、「顧客から照会を受けた証券会社が即時に顧客に対し電話又は口頭で回答できある場合」や「ホームページによる参考時価の提供」も、国内の投資家が容易に取得できるうちに入ると回答していますが、金利・為替ものの仕組債や、クレジットリンク債の売買価格を即時に回答できる証券会社や、ホームページの参考時価を更新できる証券会社は、決して多くないはずです。

仮に、国内の投資家が、国内の売買価格に関する情報を容易に取得できる場合があったとします。それでも、次の要件は難関です。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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