外国証券売出し(6)


前回の続きです。

外国国債、外国地方債、外国特殊法人債は、1.国内における売買価格情報、2.外国における継続的な売買、3.企業情報の公開という要件のいずれをも満たすので、「外国証券売出し」の対象となり易いという話を、前回、しました。

要件を満たしたということは、ようやく、外国証券売出しの「資格」を得たということです。ここから、さらに、追加的な条件を満たさなければ、外国証券売出し規制違反です。

<外国証券情報の提供>
証券会社は、外国証券売出しの際には、対象となる有価証券の情報と、有価証券の発行者の情報を提供又は公表しなければなりません。有価証券届出書でいう「証券情報」と「企業情報」に当たる情報です。これらの情報をあわせて「外国証券情報」といいます。

有価証券届出書と異なり、外国証券情報を作成し、公表するのは、発行者ではなく、証券会社です。

通常の売出しでは、有価証券届出書を作成し、公表するのは「発行者」であるにもかかわらず、外国証券売出しでは、外国証券情報を作成し、公表するのは「証券会社」でよいのはなぜでしょうか。

思い出してください。外国証券情報の提供の前に、外国証券売出しの「資格」として、発行者は、企業情報を公表していることが要件になっています。また、外国証券は外国で継続的に売買されていることも要件でした。

だから、外国証券情報を作成し、公表するのは、証券会社で十分なのです。

<例外>
外国証券売出しの際に、証券会社が、外国証券情報を提供しなければならないのは、原則で、複数の例外あります。

1 発行者が、有価証券報告書を提出しており、かつ、証券情報を公表していること(証券情報提供・公表府令13条1号)

これは、当たり前です。有価証券報告書は、要するに、企業情報を記載した書類です。ですから、この条文は、要するに、発行者が企業情報と証券情報を公表していること、つまり、有価証券届出書を提出した状態になっていることを言い換えているに過ぎません。

2 発行者が、発行者情報を公表しており、かつ、証券情報を供していること(同2号)

これは、1号と同趣旨です。発行者が、発行者情報(企業法に当たる情報)と証券情報を公表しているのだから、外国証券情報の提供が不要だというわけです。

3 外国国債、外国地方債、外国政保債の外国証券売出しであって、外国証券売出しの対象となる外国証券(売出し外国証券)、又は、売出し外国証券の発行者が発行する同種の外国証券が、複数の証券会社によって継続的に売買されていること(同3号)

これが、外国証券売出しの最大のポイントです。1号と2号は、当たり前のことを言っているだけですが、これは違います。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

コメント

非公開コメント

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
http://office-jsl.com/

<お問い合わせ>
お問い合わせは、お問い合わせフォームで受け付けます。

<主な業務>
主な業務は、主な業務をご覧ください。

ブログの内容は個人的見解ですので、正確性は保証いたしません。また、ブログの内容に関する質問を含め、質問には一切回答いたしかねますので、ご了承ください。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Translation
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード