外国証券売出し(8)


前回の続きです。

「外国証券売出し」は、売出しでありながら、法定開示が不要の売出しであるところに特徴がある売出し出しの一種です。ただし、外国証券売出しが認められる外国証券は、「資格」要件を満たさなければなりません。資格要件を満たし易い外国証券は、外国国債、外国地方債、外国特殊法人債です。

資格要件をいたした外国証券の外国証券売出しをしようとする証券会社は、発行者の情報と有価証券の情報をあわせた「外国証券情報」を公表しなければなりません。

ただし、例外として、1.実質的に発行者が有価証券届出書を提出しているのと同じ状況にある場合、2.発行者が、発行者情報と証券情報を公表している場合、3.対象が複数の証券会社が売買している外国国債、外国地方債、外国政保債の場合がある、というところまで前回説明しました。

今回は、外国証券情報を提供・公表しなくても良い最後の例外についてです。

<適格機関投資家限定外国証券売出し>
4 外国証券売出しの相手方が適格機関投資家である場合(証券情報提供・公表府令13条4号)

適格機関投資家であれば、外国証券情報が提供・公表されなくても、自ら情報を探すことができるからです。

「本当か!?」

という気がしますので、法令は、「適格機関投資家が外国証券情報の提供又は公表を求めた場合を除く」としています。

さらに、外国証券売出しで取得したのが適格機関投資家であっても、適格機関投資家がその他の投資家に転売してしまっては、適格機関投資家に限定した意味がなくなりますので、取得する際、適格機関投資家は、譲渡するときには、適格機関投資家か海外(非居住者)にしか譲渡しないことを条件に取得しなければ、この例外は利用できません。

以上が、外国証券売出しの基本です。

まとめですが、外国証券売出しの適用を考える場合は、次の順序で考える必要があります。

1 売出人は証券会社か

2 対象となる外国証券は「資格」要件を満たしているか

3 例外(全部で4つ)を除き、外国証券情報が提供又は公表されているか

以上です。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。コンプライアンス・リスク管理コンサルタントとして、上場会社、が外資系企業など多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

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