売出しに該当しない売付け(1)


今回のテーマは、「売出しに該当しない有価証券の取引」です。

<意味>
平成21年の金融商品取引法の改正で、売出しに該当しない有価証券の取引の範囲が広がりました。範囲が広がった理由がわかると、何が売出しに該当しない有価証券の取引であるかわかります。

<売出し>
売出しとは、1.既に発行された有価証券を2.50人以上に売付け勧誘等をする行為のことです。改正前は、この要件に、3.均一の条件で、とありましたが、削除されました。

もともと、なぜ、「均一の条件」がついていたのか。それは、この条件がついていないと、上場株券の売買の勧誘を行う行為が、売出しになってしまうからです。

上場株券は、刻一刻条件(株価)が変わるので、売出しの定義に「均一の条件」があれば、上場株券の売買の勧誘は、売出しに該当しないと整理することができました。

この「均一の条件」が削除されてしまったので、上場株券の売買の勧誘は、1.上場株券という既に発行された有価証券を、2.50人以上に売付け勧誘等をする行為に当たってしまい、そのままだと、売出しになるところでした。

そこで、「売出しに該当しない有価証券の取引」の登場です。

<種類>
売出しに該当しない有価証券の取引は、全部で11種類あります。重要なものを、見ていきましょう。(施行令1条の7の3)

<上場有価証券等の売買>
証券取引所における株券の売買やPTS(私設取引システム)における株券の売買など、上場有価証券等の売買、それに、証券会社が顧客注文を証券取引所に取次ぎを行うことに伴う有価証券の売買は、売出しに該当しない取引であると明記されました。

これだけで所期の目的は達成できますが、他にも、一定の売付け形態を、その特殊性を考慮して、「売出しに該当しない有価証券の取引」と定義しています。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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