練習問題(2)


前回出題した問題の回答です。

解1
売出しの対象となった既に開示(有価証券届出書の提出)が行われた外国社債を、不特定多数(50人以上)に、再度、売出しを行う場合、発行者による有価証券届出書の提出や目論見書の作成は、必要ありません。

したがって、売出人として販売した外国社債の買戻玉を不特定多数(50人以上)の投資家に再販する場合、発行者が有価証券届出書を提出しなくても、また、発行者が作成した目論見書を投資家に交付する必要はありません。正解は「誤り」です。

解2
私売出し又は売出しで販売することを考えている証券会社のために、外国証券を買い付け、買い付けた外国証券を販売する行為、つまり、卸販売は、わざわざ、譲渡制限(転売制限)を付けない限り、私売出しにはなりません。「売出しに該当しない有価証券の取引」です。正解は「誤り」です。

解3
投資家に販売する目的で、売出人から外国社債(に限りません)を買い付ける行為は、元引受けです。ですから、最低資本金は、30億円以上又は5億円以上の制限を受けます。正解は「正しい」です。

解4
外国国債の売出しは、1.当該国国債の国内における売買価格に関する情報が容易に取得でき、2.当該外国国債、又は、当該外国国債の発行者である外国政府が発行する他の外国証券が、外国で継続的に売買されており、3.当該外国政府が、英語又は日本語で発行者情報を公表している場合には、「外国証券売出し」の対象となる資格を有します。

この場合、当該外国国債、又は、当該外国国債の発行者である外国政府が発行する他の外国証券が、国内で2社以上の証券会社が継続的に売買していれば、「外国証券情報」の提供は不要です。価格に、外国政府の財政状況が、十分に反映されていると考えられるからです。正解は「誤り」です。


解5
問4と異なり、外国企業が発行する外国社債の売出しは、1.当該外国社債の国内における売買価格に関する情報が容易に取得でき、2.当該外国社債が、外国で継続的に売買されており、3.当該外国企業が、英語又は日本語で発行者情報を公表していなければ、「外国証券売出し」の対象になりません。

当該外国企業が発行する「他の外国社債」が外国で継続的に売買されていてもダメで、売出しの対象となる「当該外国社債」自体が外国で継続的に売買されていなければ、そもそも外国証券売出しにはなり得ません。正解は「誤り」です。

まとめ
「売出しに該当しない有価証券の取引」と「外国証券売出し」の規定は、外国証券を取り扱う証券会社にとって、必須の知識です。

外国証券を取り扱う際には、1.当該外国証券の売付けが売出しに該当しない有価証券の取引に該当しないかどうかを検討し、2.該当しない場合、外国証券売出しの資格要件を満たしているかどうかを考え、3.資格要件を満たしていなければ私売出しとして販売する、という順番に考えれば、間違えることはないはずです。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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