目論見書(1)


目論見書についても触れておきます。

目論見書の内容は、インターネットや証券会社の窓口で確認することができます。ここで取り上げたいのは、目論見書の交付が「不要」な場合です。

<既に開示された有価証券>
既に開示された有価証券、例えば、過去に有価証券届出書が提出されて売出しが行われた有価証券の売出しが行われた場合、発行者は、再度、有価証券届出書を提出する必要はありませんが(金商法4条1項3号)、原則として、目論見書は作成しなければなりません(金商法13条1項後段)。

ただし、この原則が適用される売出しは、開示が行われている場合における有価証券の売出しのうち、「売出し価額の総額が1億円未満であるものその他内閣府令で定めるものを除く」売出しです。

平成21年の金融商品取引法の改正で、例外である内閣府令で定める売出しが広がりました。実務的にいうと、原則と例外が逆転しています。

内閣府令に追加された売出しは、有価証券の発行者、発行者の関係者、残額引受けをした証券会社が行う当該有価証券の売出しに該当しないものです。ただし、ここで「有価証券」とは、株券等に限られます。

既に開示が行われた株券等の再販売(再売出し)は、発行者、発行者の関係者、残額引受けをした証券会社が行った場合、有価証券届出書の提出は不要ですが、目論見書の作成・交付が必要です(企業開示府令11条の2)。発行者等と投資家の間には、圧倒的な情報格差があるからです。

ただし、再販売の対象となる有価証券が特定有価証券の場合は、発行者、再販売を目的として発行者から取得した証券会社、残額引受けをした証券会社が行うと、目論見書の交付が必要です(特定証券開示府令14条)。特定有価証券とは、投信やSPCが発行する有価証券などを指します。

したがって、逆に言うと、社債の再販売(再売出し)は、発行者、発行者の関係者、残額引受けをした証券会社が行った場合であっても、有価証券届出書の提出が不要であることはもちろん、有価証券通知書の提出も目論見書の作成・交付も不要です。(平成21年12月22日金融庁パブリックコメント回答27頁92参照)

以上の改正が、証券会社の実務に、どのような影響があるかを見てみましょう。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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