ご質問への回答


久しぶりに更新します。ブログを通じて最近頂いたご質問のうち、数が多かったものに回答します。

<質問>
「あるホームページで、社債の少人数私募は券面が50枚未満でなければならないとあったのですが、本当でしょうか」

<回答>
誤解です。

結論からいうと、券面は100枚でも1000枚でもかまいません。社債の場合、枚数制限はないということです。

券面が仮に100枚になると、49人が取得していた場合、最低1名は2枚以上所有していることになります。この人が、1枚ずつ2人以上に譲渡(転売)すると、所有者の数は50名以上になってしまいます。これでは、発行の際、勧誘の相手方の人数を50名未満にした意味がなくなります。そこで、券面が50枚以上の場合には、「取得した有価証券を分割して譲渡することはできません!」(一括譲渡制限)という譲渡制限(転売制限)を付けることが求められています。

<質問>
「個人のホームページで、無料で、海外ファンドを紹介することも金融商品取引法違反になると聞いたのですが、本当でしょうか」

<回答>
通常、金融商品取引法違反になりません。

海外ファンドも含めて、有価証券の価格動向を分析して、投資判断の助言を行う行為は、一見すると「投資助言業務」に該当するようにみえます。「買い時です」「売り時です」という助言がそれです。

ただし、助言が、投資助言業務になるのは、助言をした相手方から報酬を得たときに限ります。報酬を得ないで行う助言は、投資助言業務に該当しませんので、海外ファンドを無料で紹介しているのであれば、通常、金融商品取引法違反になることはありません。

以下、若干話が難しくなります。

例外として、海外ファンドのファンドマネージャーが国内の投資家に対してファンドを売り込もうとしている場合、海外ファンドのために、「買いましょう」と投資家を誘って取得させようとする行為は、第一種金融商品取引業か第二種金融商品取引業に該当する可能性があります。

該当するかどうかの判断は微妙で、現実問題として、「投資助言・代理業の登録をしている金融商品取引業者は、第一種又は第二種金融商品取引業の登録を受けないでどこまでできるか」という形で顕在化しています。

一言でいうと、これは、助言か私募の取扱いかという問題です。

助言の顧客は助言の相手方である投資家です。私募の取扱いの顧客は自己私募を行う発行者です。無償の助言は金融商品取引業ではありませんが、無償の私募の取扱いは反復継続性(と対公衆性)があれば金融商品取引業です。

したがって、理論的には、無償で海外ファンドを紹介する行為は、紹介する海外ファンドとの間に何の関係もなければ無償の助言として金融商品取引業に該当せず、海外ファンドとの間に紹介するという約束があれば無償の私募の取扱いとして金融商品取引業に該当することになります。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
http://office-jsl.com/

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