シティバンク銀行の本当の問題点


12月16日(金)、金融庁は、シティバンク銀行に対して、外貨預金や投資信託などの勧誘を1ヶ月停止する命令を出しました。詳細は、こちらをご覧ください。

<注目すべきは背景>
理由は、いろいろと記載されていますが、要するに営業員が強引な販売をしたことにあるとしています。

注目すべきは、金融庁が指摘している事件の背景です。原文の一部を抜粋します。

「こうした背景には、不適切な報奨金制度の存在が認められる」

報奨金制度がどのようなものであったかわかりませんが、常識的に判断すると、販売実績が多い営業員には高いボーナスを支給する制度であったと推測できます。

金融庁の指摘のポイントは、「不適切な」報奨金制度があったとしている点です。推測が正しければ、不適切なボーナス査定制度があったということです。不適切な査定制度とはいかなるものか、公表されていないためわかりません。

一つ言えることは、ボーナス査定が営業成績に大きく左右される制度は、通常の銀行には存在しないという点です。私は、10年以上邦銀にいましたが、ボーナスと営業成績とはリンクしていませんでした。仮に、営業成績が良い職員と良くない職員のボーナスに差があっても、大きなものとはならない体制を維持していました。

証券会社は違います。私は、証券会社で営業をしたことがありませんので、聞いた話ですが、証券会社の営業員のボーナスは、営業成績、つまり、結果に連動しているようです。

<銀行と証券の違い>
銀行と証券のボーナス制度、ボーナスの考え方の違いは、銀行と証券の経営には本質的な違いがあるからです。ひとことで言ってしまうと、銀行はストック・ビジネス、証券はフロー・ビジネスという違いがあります。

銀行は、本来、いったん貸付け(収益源)が確定すると、長年、安定的に収益を得ることができる仕組みです。貸付けというストック、つまり、固定された収益源があるため、目先の利益を追う必要がありません。

これに対して、証券は、売買手数料(収益源)をあげないと、ジリ貧になります。売買手数料というフロー、つまり、一過性の収益源をあげないといけないため、目先の利益を追う必要があります。

したがって、銀行は、一過性の収益源である投資信託の販売手数料に対し、証券会社ほど興味がありません。

<本当の問題点はどこか>
シティバンク銀行は、当然ですが、銀行です。ですから、以上の説明からわかるとおり、外貨預金や投資信託の販売手数料を追及する組織体ではないはず、というか、あってはならないわけです。

シティバンク銀行の本当の問題は、銀行免許で開業しているのにもかかわらず、シティバンク銀行の収益計画(構造)が銀行の収益計画(構造)ではなく、証券会社の収益計画(構造)になっていたという点です。

最後に、金融庁がシティバンク銀行に与えた命令の一部を紹介します。

「ビジネスモデルのあり方を含めた持続可能性のある収益計画の見直し」をせよ、です。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

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