登録取消処分


関東財務局が、投資顧問会社に対する行政処分として、登録取消処分を行いました。詳しくは、こちらをご覧ください。

<検査忌避>
このブログで何度か繰り返していますが、金融庁、証券取引等監視委員会、財務局(支局)の検査で、絶対にやってはいけないことは、検査忌避です。

今回の事件は、社長が、外出中の職員を含め職員全員の同意がえられるまで事務所への立入りはさせられないと検査官に言ったと記述されています。職員のプライバシーを重んじたのか、背景はわかりませんが、どんな理由があろうとも、検査官の立入りを拒否することは許されません。

なぜ許されないのか。金融商品取引業者は、「いつ、いかなる場合でも、検査官による検査を受ける」という条件付で、金融商品取引業者としての登録を受けているからです。

他にも、例えば、「社長が不在だから」とか「税務調査が入っているから」とか、当人にとっては重大な理由であっても、検査官には関係ないことです。検査が入ったからという理由で、書類を破棄したり、検査官にウソをついたりすることも、検査忌避です。検査忌避に対しては、行政処分ばかりでなく、懲役を含む刑事罰が科される可能性もあり、実際、過去に、有罪判決を受けたケースがあります。

金融商品取引業者として登録を受けた、ということは、検査を受ける義務があります。金融商品取引業者である以上、いつ、いかなるときにも検査を受ける覚悟が必要です。

<偽計を用いる行為>
偽計、要するに騙すということですが、偽計を用いる行為は、当然、許されません。今回の事件では、「根拠のない説明」「虚偽の説明」をしていたと記述されています。虚偽の説明はもちろん、根拠の不確かな説明を顧客にすることは、金融商品取引法上、行政処分の対象になります。

<契約締結前交付書面等の不保存>
また、今回の事件では、契約締結前交付書面や契約締結時交付書面が保存されていなかったと指摘されています。契約締結前交付書面等は、「法定帳簿」の一つです。法定帳簿とは、名前の通り、法律で作成・保存することが義務付けられた帳簿のことです。義務違反は、金融商品取引法上、行政処分の対象となります。

ブログで何度か繰り返していますが、法定帳簿とは、金融商品取引法で作成・義務付けられている書面(あるいはデータ)のことです。会計帳簿とは違います。法定帳簿の種類はたくさんありますので、ここでの説明は省きますが、金融商品取引業者である以上、金融商品取引法で作成と保存が義務付けられている法定帳簿の管理は、非常に重要です。


証券会社から見ると、以上のことは当たり前すぎるほど当たり前のことですが、金融商品取引法の施行以降に金融商品取引業者として登録を受けた会社の中には、検査忌避や法定帳簿といわれても、ピンとこない方もいるかもしれません。

ただ、金融商品取引法に限りませんが、「知らなかった」は、違反を正当化する理由になりません。金融商品取引業者は、金融商品取引法に基づいて登録を受けているのですから、最低でも、金融商品取引法は隅から隅まで読んでおく必要があります。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。コンプライアンス・リスク管理コンサルタントとして、上場会社、が外資系企業など多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所
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