アセット・ファイアンス2


今年も、ブログ「これでわかった!金融商品取引法」を宜しくお願いします。

今年最初の記事は、アセット・ファイアンスです。おそらく、今年は、大企業、中小企業を問わず、アセット・ファイアンスが、これまで以上に重要な年になると考えています。今年は、株式や社債や銀行借入で資金を調達することが難しくなると予想されるからです。

<アセット・ファイアンス>
アセット・ファイアンスは、株式会社の貸借対照表を考えるとわかりやすいです。

貸借対照表は、資産、負債、資本の3つのパートからなっています。

資本を増やすファイアンス(資金の調達方法)は、株式を発行する方法です。株式は英語でエクイティといいますので、株式を発行して資金調達する方法をエクイティ・ファイアンスといいます。

負債を増やすファイアンスは、社債を発行する方法や借入を増やす方法です。借入は英語でデットといいますので、社債を発行したり借入をしたりして資金調達する方法をデット・ファイアンスといいます。

もう一つの資金の調達方法は、資産を活用して資金調達する方法です。資産は英語でアセットといいますので、資産を活用して資金調達する方法をアセット・ファイナンスと呼ぶわけです。

<信用力>
アセット・ファイアンスと、エクイティ・ファイナンス、デット・ファイナンスとの決定的な違いは、資金を調達する企業の「信用力」に影響を受けるかどうかです。

信用力とは、簡単に言うと、企業が倒産したり、債務不履行になったりするリスクのことです。信用力は、金融商品を考える上ではとても重要ですので、具体例をあげてお話します。

金融では何かを表現するとき、英語で表現することが多いですが、信用力は、クレジット・リスクと呼ばれます。クレジット・リスクが高い企業とは、倒産したり、債務不履行になったりする可能性が高い企業という意味です。

クレジット・リスクが高い企業の株価は、通常、下がります。倒産でもされると、株式が無価値になってしまう可能性もあるからです。また、クレジット・リスクが高い企業が株式を新たに発行しようとすると、期待通りの資金調達ができない場合があります。わかりやすくいうと、売り叩かれるからです。

同様に、クレジット・リスクが高い企業の社債の価格も、下がります。債券の価格の説明を丁寧にしようとすると専門用語を使って簡潔に説明しようとしても長くなりますので、わかりやすくいってしまうと、債務不履行になって、金利や元本が支払われない可能性が高いからです。

また、クレジット・リスクが高い企業が社債を新たに発行しようとすると、株式の発行同様、売り叩かれて、期待通りの資金調達ができない場合があります。

資産(アセット)は違います。例えば土地。土地を保有している企業が倒産しても、経済合理的に考えると、土地の価格に影響はありません。在庫として抱えている商品も、基本的には、企業が倒産しても、価値は変わらないはずです。

つまり、資本や負債といった貸借対照表の貸方に計上される株式の価値や社債の価値は、発行者である企業のクレジット・リスクの影響を受けて下がることがあるけれども、資産という借方に計上されるモノの価値は、所有者である企業のクレジット・リスクの影響を受けないということです。

アセット(ファイアンス)は、所有者である企業のクレジット・リスクの影響を受けない、という原則を、まずは覚えておきましょう。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。コンプライアンス・リスク管理コンサルタントとして、上場会社、が外資系企業など多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所
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