アセット・ファイナンス5


<コーポレート・ファイナンス>
前回までの話で、コーポレート・ファイナンスのイメージはつかんでいただけたでしょうか。企業の信用力を頼ってお金を集めることを、このブログでは、コーポレート・ファイナンスと呼んでいます。

もう一度、前回のA社の例で説明します。

A社が、株式や社債を発行するとき、通常、株式や社債は無担保です。頼れるのは、A社の信用だけです。株式なら、A社が経営に失敗して債務超過になってしまうと、価値はゼロになるかもしれません。社債なら、A社が資金繰りが苦しくて債務不履行になる、つまり、社債の利金を支払えないとか、元本を支払えないとなると、社債の価値はグッと下がります。場合によっては、ゼロになることもあります。

株式や社債の発行による資金調達は、A社の信用・信用力に頼っているということです。ですから、株式や社債の発行による資金調達は、コーポレート・ファイナンスです。

<貸借対照表>
コーポレート・ファイナンスは、貸借対照表でいえば、貸方(向かって右側)で資金調達をする方法と言い換えることもできます。

貸借対照表の詳しい説明は省きます。簡単にいうと、貸借対照表とはTの字になっていている、会社の資産や負債の状況をあらわす財務諸表の一つで、借方、つまり、向かって左側に企業が所有している「資産」を書きます。資産とは、預金、商品、土地などのことです。A社がB社にお金を貸しているときの債権である金銭債権も、資産の一つです。

貸方、つまり、向かって右側には、借方に計上されている「資産」を取得するために、どうやってお金を集めたかを記録します。資産を取得するために、借金でお金を集めたのか、社債を発行してお金を集めたのか、株式を発行したり利益を積み上げたりしてお金を集めたのかが、貸借対照表の貸方を見るとわかります。

バブル崩壊までは、企業の資金調達といえば、貸借対照表の貸方、つまり、銀行借入、社債の発行、株式の発行や利益の積み立てを活用してお金を集めることを指していたといっても言い過ぎではありませんでした。実際、バブル崩壊前に私は銀行で融資を担当していましたので、間違いありません。

メインテーマであるアセット・ファイアンスは、あったにはありましたが、企業の資金調達手段としてではなく、節税商品の開発目的で存在していた程度だったというのが私の当時の印象です。

現在でも、企業の資金調達は、コーポレート・ファイナンスが主体です。中小企業になると、地域金融機関から貸付金を回収されたり、止められたりしたら、一発で倒産しかねません。でも、金融機関の経営だって非常に苦しいのが現実です。金融機関は、今、金融庁の指導で緩めの審査をして企業に貸し付けていますが、いつ、貸しはがしや貸し渋りに走るかわかりません。

コーポレート・ファイナンスだけに頼ることは、非常に危険だということです。

<アセット・ファイナンス>
アセット・ファイナンスは違います。

先にお断りしておきますが、アセット・ファイナンスも、万能ではありません。アセット・ファイアンスに詳しくなったからと言って、金融機関に頼らなくてもお金を集められるわけではありません。

ただ、現在の中小企業のように、金融機関の貸付のみに頼らなくても良くなります。コーポレート・ファイナンスとアセット・ファイナンスを組み合わせることで、資金調達の方法が多様化することは確かです。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。コンプライアンス・リスク管理コンサルタントとして、上場会社、が外資系企業など多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所
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