アセット・ファイナンス19


<金融商品取引法の適用>
将来債権の証券化に対する金融商品取引法の適用を見てみましょう。

匿名組合契約の出資持分は、金融商品取引法の二項有価証券です。ですから、金融商品取引法の適用を受けます。

営業者が出資持分の取得の勧誘をする行為は、自己募集です。匿名組合契約の出資持分の自己募集は、第二種金融商品取引業です。ですから、営業者は、原則として、第二種金融商品取引業の登録をしなければなりません。

金融商品取引法が施行された当時のパブリックコメントの金融庁の回答によると、例外として、営業者が、まったく取得の勧誘、つまり、投資家集めに関わらず、他の第二種金融商品取引業者に投資家集めを全部委託した場合、営業者は登録不要です。

このとき、委託を受けた金融商品取引業者が、いったん、自己資金で出資持分を取得してから、投資家に出資持分を取得させると、「取得させることを目的として取得すること」ですから、「引受け」になってしまいます。

レバレッジド・ファイナンスのところで「記憶しておいてください」とお話したところですが、大丈夫でしょうか。

引受けは第一種金融商品取引業です。ですから、金融商品取引業者が、第二種金融商品取引業の登録しか受けていない場合には、いったん自己資金で出資持分を取得してから、さらに投資家に取得させることはできません。

<投資家からみたアセット・ファイナンス>
これまで、金銭債権、そのうちの特にリース債権、売掛債権、将来債権を活用したお金の集め方、アセット・ファイナンスを概観してきました。

信託を利用したり、匿名組合契約を利用したりして、資産(アセット)を現金化する方法を見てきました。

なぜ、今、アセット・ファイナンスなのか。

それは、アセットを裏付とした信託受益権や匿名組合出資持分は、投資家にとって、オルタナティブ投資になるからです。

Alternativeとは「代替」という意味ですが、コーポレート・ファイナンス、つまり、社債や株式を発行して企業の信用力でお金を集める従来からのやり方は、投資家にとって魅力がありません。

投資家の中には、株式や社債は既に十分に抱えている投資家がいます。あるいは、株式や社債のように、発行企業一社の信用リスクを抱えることを嫌う投資家もいます。

このような投資家にとって、アセット・ファイナンスで発行される信託受益権や匿名組合出資持分は、代替投資商品として、あらためて注目される商品です。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
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