アセット・ファイナンス21


二項有価証券である組合出資持分を取扱っている金融商品取引業者の方が注意すべき規定に「分別管理」があります。

<分別管理規制の主語>
条文は、金融商品取引業者は、組合契約の営業者等が、投資家の出資金を金商業等府令125条に規定さている通りに分別管理している場合でなければ、当該組合契約の出資持分を販売してはならないと規定しています(法40条の3)。

主語が「金融商品取引業者」ですから、金融商品取引業者に向けられた規制であるため、金融商品取引業者が、営業者等の分別管理状況を確認する必要があります。

分別管理がされているというためには、営業者等の定款等で次の基準が満たされている結果、投資家の出資金と営業者等の固有財産その他当該営業者等の行う他の事業に関連する財産とが分別して管理されていなければならないとあり、基準とは

1.出資対象事業の業務の方法、及び投資家の出資金が帳簿上ファンド毎に管理されていること

2.投資家の出資金が投資家の出資金の管理口座であることがわかる口座名義で銀行預金されていること

の2つだと規定しています(金商業等府令125条)。

営業者等の定款等に2つの点が規定されていれば、定款で規制したことは営業者の義務になりますから、定款等に書いてあること、と規定しているわけです。

<分別管理の方法>
分別管理の方法としては、投資家の出資金はファンド毎に区分管理されていなければなりません。ただし、帳簿上の管理で十分。ファンド毎に通帳を分けることまでは要求されていません。

一方、通帳は、営業者等の固有財産その他の当該営業者等の行う他の事業に関連する財産とは違う口座で管理されていなければなりません。その他の方法もありますが、銀行預金通帳を分ける方法が、一番現実的でしょう。

なお、ここでいう「他の事業」とは、営業者が行うファンド運営以外の営業固有の事業を指します。「他のファンド」の意味ではありません。

<注意!>
忘れてはいけないのは、この規定は、出資持分を販売する金融商品取引業者に向けた規制だということです。営業者等に向けられたものではありません。

仮に営業者等が、定款等に2つのことを書いてなかったとしても、営業者等は責めを負いません。行政処分という形で責めを負うのは販売した金融商品取引業者の方です。ですから、実務としては、出資持分を販売する金融商品取引業者は、営業者等から定款の写しをもらっておくのが良いでしょう。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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