投資顧問会社の当局検査指摘事項2


<ファンドの販売>
この事例は後を絶ちません。はっきりいいます。ダメなものはダメなんです。ファンドの販売はダメなんです。

事例を挙げます。

事例1
当社は、海外ファンドについて、当社のホームページ等を通じて関心を持った顧客に対し、第一種金融商品取引業の変更登録を受けていないにもかかわらず、有価証券の募集の取扱いを行った。

事例2
当社(投資助言・代理業登録)は、第二種金融商品取引業の登録を受けることなく、集団投資スキームへの出資勧誘を行った。

事例3
当社は、報告徴取命令において、当社が当局の登録を受けずに業務を行っている事実を隠蔽する目的で、当社は自らの業務が第二種金融商品取引業に該当することを認識していながら、投資助言業務の範囲内であると認識しているとする、などの虚偽の報告を行った。

事例3が少しわかりにくいと思いますので解説を加えると、金融庁(財務局)は、投資顧問会社(に限らず金融商品取引業者等すべて)に対して、業務に関する報告書を提出するように命令することができます。命令違反はもちろん、報告書にウソを書くと登録抹消処分などの行政処分を受けます。

事例3は、「あなたは第二種金融商品取引業の登録を受けていないのにファンドの販売をしていませんか?」という内容の報告徴取(報告徴求)命令に対して「投資助言の範囲のことしかしていません」とウソの報告をしたという意味です。

当然ですが、この会社は、登録抹消となっています。

<取得勧誘行為>
ファンドに関する助言を行うという名目で、ファンドの内容を説明して投資を誘う行為は、助言の域を超えた「取得勧誘行為」です。ファンドの募集の取扱いか私募の取扱いにあたります。

ひどい会社になると、ファンドを販売した事実を隠すために、顧客に「このファンドを購入するためには、当社と投資助言契約を結んでもらう必要があります」とウソつく会社があるということは、前回お話しした通りです。

ファンドとは、金融商品取引法でいうところの外国投資信託の受益証券か外国投資証券、つまり、第一項有価証券ですから、ファンドの取得勧誘行為は、第一種金融商品取引業です。登録をしないで行えば、最長3年の懲役です。

「ファンドを紹介しただけ」というのもダメです。一般的に有価証券の紹介は、金融商品取引法の取得勧誘(又は売付け勧誘等)にあたります。投信は都度設定されるでしょうから(いつも新発なので)、ファンドの紹介は、ファンドの募集の取扱い又は私募の取扱いと同じ意味です。

「いや、顧客から一円ももらっていない」というのは言い訳になりません。ある行為が、金融商品取引業に該当するかどうかは、金銭を受領したかどうかとは関係がありません。「行為」自体が問題なのです。

ちなみに、募集の取扱いにしても私募の取扱いにしても、顧客はファンド(の発行者)の方です。ですから、ファンドと結託して、国内の投資家にファンドを紹介する行為は、ファンドの募集の取扱いか私募の取扱いになります。「いや、ファンドから一円ももらっていない」というのが言い訳にならないことは、先ほどお話したとおりです。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
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