投資顧問会社の当局検査指摘事項3


<広告規制違反>
広告規制違反も後を絶ちません。例えば、次のような事例です。

事例1
顧客として「A氏」の顔写真を掲載した上で、取引履歴画像を添付して、「目標金額の100,000円を達成!」と、「A氏」が実際に取引を行い、あたかもA氏が優れた成果を収めたかのようなコメントを表示していた。しかしながら、「A氏」については、実在する顧客ではないほか、取引履歴画像についても架空のものであった。

事例2
当社は、インターネット上に設けたバナー広告において、「発売以来、300人以上のクライアントに1,000万円以上の利益を生み出した投資手法」と掲載していた。しかしながら、当社では、助言により顧客が利益を得たか否かの状況を把握しておらず、また、300人以上の顧客において1,000万円以上の利益が発生した実績を証するものもなく、当社の投資助言業の実績について、著しく人を誤認させるような表示を行っていた。

事例3
当社は、ホームページ上に、当社が助言を行った銘柄につき助言後の株価上昇率等を掲載しているが、広告について正確な内容を掲載するための実効性のある検証態勢を構築していないことから、株価上昇率等に関し事実と異なる表示を行っていた。

以上は公表されている検査指摘事項ですが、読んでいると、笑ってしまいます。

架空の人物を作り出したり、株価上昇率をごまかしたりする行為は、あまりにレベルの低い誇大広告(虚偽広告)です。「少しくらいの誇張なら」と思わないでください。ダメです。広告は、正確でなければなりません。

「他社もやっている」というのは言い訳になりません。ダメなものはダメです。

<広告審査>
3つ目の事例で、「広告について正確な内容を掲載するための実効性のある検証態勢を構築していない」という指摘がされています。広告を作る人と、広告を審査する人を分けろという意味です。

「そんなに人がいない」という投資顧問会社もあると思います。それでも分けないとダメです。書き間違い、見落とし、転記ミスなど、人間なら誰もやりそうです。間違いは顧客に出す前に直す、顧客に出してしまっていたらすぐに訂正するということをしないと、虚偽広告と認定されてしまいます。

「一人しかいない」という会社もあるでしょう。そういうときは、外部委託してでも第三者の目を入れるべきです。外部委託のコストを削ったばかりに虚偽広告になってしまい、金融商品取引法違反会社として新聞に報じられ、顧客をすべて失い倒産することを考えたら、外部委託してでも広告検証体制を構築した方が安く上がります。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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