第二種金融商品取引業の当局検査3


<分別管理規制違反>
第二種金融商品取引業者が、ファンドの分別保管をしていなかったという事案が見受けられます。

例えば、投資事業有限責任組合の営業者が8本のファンドの自己私募又は私募の取扱いを行っていながら、ファンド資産の管理を4つの銀行口座により混在して管理していた、匿名組合契約と自社の事業との資産の分別をしていなかった、あるいは、ファンド資産の分別管理に関する規定を定款に記載していなかったとして行政処分を受けている会社が散見されます。

金融商品取引法は、間接的ではありますが、ファンドの分別管理を要求していますので、分別管理違反は、金融商品取引法違反を問われます。

<分別管理とは>
分別管理とは、読んで字のごとく、分別して管理することを意味します。何を分離して管理しなければならないかというと、組合契約等のファンドの出資持分(投資家のお金)と、匿名組合契約の営業者等の事業者(自分のお金)との分別が一つ、また、複数のファンドを運営している場合には、ファンドごとの収益がわかるように資産を分別するのが一つです(投資家のお金と投資家のお金の分離)。

<分別管理の方法>
分別管理の方法につきましては、以前、アセット・ファイナンスの説明をした際に詳しく説明しています。<分別管理規制の主語>に関する記事です。そちらもご覧ください。

以下では、前回の説明の補足をします。

<定款記載事項>
まず、事業者は、定款に、出資金(投資家のお金)を充てて行われる事業の対象及び業務の方法を記載しなければなりません。具体的には、ファンドの内容を記載します。

次に、事業者は、定款に、事業にかかる財産がそれぞれ区分して経理されていることを規定します。具体的には、ファンド毎に区分経理されていることと、その結果、投資家保護に問題がない旨を記載します。

最後に、管理の具体的な方法を記載します。最も簡単な方法は、ファンドの管理口座であることがわかる口座名の銀行口座を設けることです。事業者自身のお金と分別して管理されていることが一目瞭然の口座名を付けるということです。

「定款」に記載するという点が重要です。その他規約(契約)で規定するという方法も認められています。

<ファンド毎の管理方法>
問題は、ファンド毎の管理(投資家のお金と投資家のお金)はどうしなければならないのかという点です。

繰り返しますが、事業者(自分)のお金とファンド(投資家)のお金とは、別の銀行口座を設けて管理しなければなりません。

ファンドの管理についても、複数のファンドを運営している場合には、ファンド毎に異なる銀行口座を設けなければならないのかが問題です。

結論からいうと、まったく異なるファンドなら別ですが、同種のファンドであれば、銀行口座は一つにまとめ、それぞれのファンドの収益がわかるように「帳簿上の」管理をすれば良いと考えます。

同種のファンドでは、ファンドに共通の管理費が生じる場合があります。そのような管理費を支払うにあたって、異なる銀行口座から管理費の合計額を満たすまで振込みをするということは、現実的には不可能でしょう。

法令の規定上も、それぞれ区分して「管理」されていなければならない、ではなく、それぞれ区分して「経理」されていなければならないとありますので、ファンド間の分別管理は、それぞれのファンドの収支は帳簿上区別して経理処理されなければならないが、異なる銀行口座で管理することまでは求められていないと考えます。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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