基本を学ぼう3


金商法は「開示規制」「(業者の)行為規制」「不公正取引規制」の3つから成り立っている、と自然に言えるようになると金商法の有段者です。

「すべての道はローマに通ず」ではありませんが、膨大な量の金商法と関連法令・諸規則のすべての条文は、この3つのいずれかに通じています。

そして、さらに3つの道は、一つの道に向かって収束していく、これが金商法の基本構造です。

<開示規制>
「開示」とは、普段使用する言葉で言い換えると「公表」という意味です。開示規制とは、有価証券の発行者などが、必要なときに必要なモノを公表しなければならないというルールです。

具体的には、例えば、株券や社債の発行者が、有価証券を募集するとき(必要なとき)に、「有価証券届出書」(必要なモノ)を公表しなければならないというルールとなって現れています。

他にも、有価証券届出書を提出(公表)した発行者は、年1回以上(必要なとき)、発行者の財政状態や経営成績を記載した「有価証券報告書」(必要なモノ)を公表しなければならないというルールもあります。

有価証券届出書と有価証券報告書(普通「ユウホウ」と呼ばれます)の関係は、別の機会にお話しします。

また、上場会社を買収しようとする会社が、買収しようとするとき(必要なとき)には、「公開買付届出書」(必要なモノ)を公表しなければなりませんし、上場会社の大株主になったとき(必要なとき)には、「大量保有報告書」(必要なモノ)を提出(公表)しなければならないというルールがあります。

それぞれの意味は、後日、説明しますが、このように、必要なときに必要なモノを公表する制度が、開示規制であるという点は記憶するようにしましょう。

<開示規制の機能>
開示規制の機能・役割は何でしょうか。

株券や社債を発行する発行者に有価証券届出書を公表させる理由は、株券や社債を購入したいと考えている人に、株券や社債を購入するかやめるかを選択するための情報を提供するためです。

また、発行者に有価証券報告書を公表させる理由は、株券や社債の所有者に売却すべきか、所有し続けるかを選択するための情報を提供するためです。

公開買付届出書は、買収されようとしている会社の株券の所有者に、買収しようとしている者に株券を売却すべきかやめるべきかを選択するための情報を提供するためにありますし、大量保有報告書は、新しい大株主が登場したとき、株券を所有している人に、それでも株券を所有し続けるか売却してしまうかを選択するための情報を提供するためです。

つまり、開示規制の機能は、株券や社債などの有価証券の取引に参加している人のために、選択するための情報を提供する点にあることがわかります。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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