ファンド6


ここまで、ファンドとして、適格機関投資家等特例業務を対象にお話してきました。が、世の中には、金融商品取引業ではなく、したがって、金融商品取引法の規制の対象外であり、登録も届出も必要がないファンドがたくさんあります。

<募集が規制の対象外の場合>
ファンドの自己募集(正確には自己私募の場合がほとんど)とは、ファンドの運営者自身が出資者を集める行為です。そして、ファンドの自己募集は、常に、金融商品取引業です。

逆からいえば、ファンドの運営者自身が出資者を集める行為をしない、つまり、他の者に出資者を集める行為を完全に委託してしまえば、ファンドの自己募集とはならないのではないか、という発想が生まれます。

実際、金融庁は「(ファンドが)勧誘を第三者に委託して自らはまったく行わない場合には・・・金融商品取引業の登録を受ける必要はない」と回答しています。(平成19年7月31日)

ですから、ファンドの中には、自ら出資者に勧誘を行わないで、第二種金融商品取引業の登録を受けている証券会社や第二種金融商品取引業者に出資者を集める行為を完全に委託して、登録(又は届出)を受けていないファンドがたくさんあります。

ここで注意すべき点が3つあります。

まず、ファンドが金融商品取引業者の登録を受けていなくても、当然のことですが、ファンド(商品)自体は、金融商品取引法の有価証券です。ですから、有価証券に対する金融商品取引法の規制はすべて適用されます。

次に、ファンドが、出資者集めを完全に委託しても、証券会社や第二種金融商品取引業者にいったんファンド(商品)を取得させてしまうことはできません。ファンドが証券会社や第二種金融商品取引業者に取得させる行為は、自己募集(自己私募)だからです。

ファンドから(勧誘なしに)直接出資者にファンド(商品)を販売するか、ファンドが、証券会社や第二種金融商品取引業者に対して勧誘をまったく行っていないことを証明するかしないとダメです。

この注意点は、ファンド側から見た注意点です。

最後に、第二種金融商品取引業者側から見ると、ファンドによる勧誘がまったく行われなかった場合であっても、第二種金融商品取引業者はファンド(商品)をいったん取得することができません。有価証券の引受けという第一種金融商品取引業になってしまうからです。

他にも一つ、決定的に重要な注意点があるのですが、それは機会をあらためてお話します。

<運用が規制の対象外の場合>
ファンドが主に有価証券がデリバティブ取引で出資金を運用する行為は、原則として投資運用業です。自己運用と呼ばれる行為です。

ただし、運用の一切を投資運用業者に委託した場合には、自己運用になりません。

ここで注意すべき点が2つあります。

一つは、ファンドの契約の中で、法令に定められた複数の事項が定められていなければならない点です。法令に定められた事項は結構多いので、ここでは省略します。

次に、委託を受けた投資運用業者が、あらかじめ、財務局等にファンドの運営者に関する事項等を届け出ておかなければならない点です。

他にも一つ、運用においてもやはり決定的に重要な注意点があるのですが、それも機会をあらためてお話します。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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