売出し業務(2)


平成21年、売出し定義から「均一の条件」が削除されます。この影響は相当大です。均一の条件が外れる結果の波及効果が大きいからです。

<募集との比較>
新たに発行される有価証券を投資家に取得させる方法は、募集と私募しかありません。発行予定の有価証券を取得させる他の方法は金融商品取引法に存在しません。現行、発行者が株券や社債を発行する場合、50名未満の投資家を相手として勧誘する行為、適格機関投資家を相手方とする行為、一定の条件の下で特定投資家を相手方とする行為の3つの行為が私募であり、他の行為は、すべて募集です。

募集の場合は、原則として、有価証券届出書の提出を行わなければ開始できません。私募の場合は、投資家に取得させる際に転売制限など、いくつかの条件を付けて取得させなければなりません。投資家に何のアクションもとらずに新たに発行される有価証券を取得させる方法は存在しないわけです。

<売出しと私売出し>
同様に売出しから均一の条件が外れると、既に発行された有価証券を金融商品取引業者等が売り付ける行為は、原則として、売出しか私売出しの方法しかなくなります。別の言い方をすると、これまで何の制限も受けなかった通常の売買という行為が、原則としてなくなるということです。

金融商品取引業者等が、所有する社債を投資家に売り付ける場合、50名未満、適格機関投資家、一定の条件の下での特定投資家に売り付ける行為は、私売出しに該当し、他の方法で売り付ける行為は、売出しになります。

売出しの場合は、原則として、有価証券届出書の提出を行わなければ開始できません。私売出しの場合は、投資家に売り付ける際に転売制限など、いくつの条件を付けて売付けなければなりません。

現状は、金融商品取引業者等が49名以下の投資家に社債を売り付ける行為は、売出しには該当しませんし、私売出しという概念もありませんから、投資家に対して何のアクションも起こす必要なく、売り付けることができます。来年以降は、売出しの定義から「均一の条件」が外れたこと、「私売出し」の概念が導入されたことから、売出しの実務は大きく変わります。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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