監査法人に対する業務改善命令


7月6日、金融庁は、オリンパスが過去の巨額損失を隠していた問題で、監査を担当していたあずさ監査法人と新日本監査法人に業務改善命令を出しました。詳細は<あずさ監査法人に対する処分><新日本監査法人に対する処分>をご覧ください。

<オリンパス事件の問題の本質>
両監査法人について、私は、平成23年11月16日に「オリンパス事件の問題の本質」というタイトルの記事の中で「オリンパスの有価証券報告書の虚偽記載が問題であったと認められるのであれば、責任は経営陣ではなく、当時の監査を行った監査法人なり公認会計士なりに求められるべきです」と結論付けていましたが、監査法人については金融庁も同じ結論に達しました。

<オリンパスの委員会の結論>
一方、朝日新聞によると、両監査法人の監査については、オリンパスの「第三者委員会」と「監査役等責任調査委員会」も検証していたが、いずれも責任は追及できないという結論に達しています。

<監査法人の責任とは>
監査法人の側にたって考えてみると、「隠されたのではわからない」となるでしょう。しかし、隠されたのではわからないで本当に良いのかという問題があります。

粉飾決算のために何かを隠していれば、いずれムリが出てくるものです。今回の事案で言えば、元社長のマイケル・ウッドフォード氏が指摘した、高すぎる買収金額などがムリの現れです。

あずさ監査法人は、買収した国内3社について減損処理を検討する必要性について言及したり、買収した英社について助言報酬が高すぎると指摘したりしています。新日本監査法人は、そのあずさ監査法人を引き継いでいます。

そういったムリの原因を追究していれば、損失隠しにたどり着いていたはずです。監査法人に強制調査権はありませんが、強制調査権がないことは、原因追及を怠ってもよい理由にはなりません。監査法人がしっかり原因を追究していさえすれば、オリンパスの損失隠しは発覚し、多くの個人投資家が、不測の損害を被らずに済んだかもしれないのです。

監査法人は何のための監査法人なのか。監査法人の責任とは、採用している企業に対す責任ではなく、信頼している個人を始めとする投資家に対する責任であることが忘れられてはなりません。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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