投資助言代理業者の検査10


前回の続きです。

<境界線>

次の当局検査指摘事項を見てみましょう。

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当社は、第一種金融商品取引業(証券業)の登録を行わないまま、平成17年6月から検査基準日(同23年4月11日)までの間、当社と投資顧問契約を締結していない者を含む多数の顧客(以下「投資顧問顧客等」という。)に対し、個別の外国投資証券について商品内容等の説明を行っていたほか、取得の申込書類等を発行体等に取次ぐなど、外国投資証券に係る募集の取扱い又は私募の取扱いを行い、これにより少なくとも12名の投資顧問顧客等が延べ21回取得に至っている状況が認められた。
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同社は、証券会社でもないのに、多くの顧客に、「個別の外国投資証券について商品内容等の説明を行っていた」ということです。さらに、「申込書類等を発行体等に取次ぐ」ことも行っていました。

商品内容説明や申込書の取次ぎは募集の取扱い又は私募の取扱いであると指摘されています。結果、同社は、3か月の全業務の業務停止命令を受けています。

ここからは私見です。

一般的にいうと、発行者側に立った行為、発行者から手数料や報酬をもらってする行為は、即、募集の取扱いか私募の取扱いです。なぜなら、募集の取扱いや私募の取扱いとは、発行者のためにする行為を意味するからです。

投資助言・代理業であるか、第一種金融商品取引業又は第二種金融商品取引業であるかの境界線は、発行者側に立った行為、発行者から手数料や報酬をもらってする行為であるかどうかという点です。

投資助言・代理業とは、「投資家」のためにする行為です。定義から、報酬は、投資家から受領することになっています。発行者から手数料や報酬をもらっていたら、それは、どう弁明しても、募集の取扱いか私募の取扱いであるとみなされる可能性が高いです。

なお、以上は形式論です。発行者から何の報酬を得ていなかったとしても、投資助言代理業者の行為が、実質的に取得勧誘であれば、投資助言代理業者の行為は、募集の取扱い又は私募の取扱いとみなされる場合があるのは言うまでもありません。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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