投資助言代理業者の検査12


10月12日、証券取引等監視委員会は、サンハーベスト株式会社(第二種)が、自己の名義をもって、他人にファンド持分の取得勧誘を行わせていたことなどを理由に、行政処分勧告を行っています。

一方、証券取引等監視委員会は、サンハーベスト株式会社の名義をもって、本件ファンド持分の取得勧誘を行っていた新日本経済投資顧問(助言)に対し、サンハーベスト株式会社の商号等の記載のある名刺を使用するなどして、サンハーベスト株式会社の社員であることを装っていたことなどを理由に、行政処分勧告を行っています。

いずれも、本件ファンドについて虚偽のことを告げるという悪質極まりない行為を行っており、行政処分勧告は当然ですが、サンハーベスト株式会社が新日本経済投資顧問にサンハーベスト株式会社の名義を使用させてはならないことは確かです。このような行為は、「名義貸し」と呼ばれ禁止されています(金融商品取引法36条の3)

<名義貸しが禁止される理由>
名義貸しが禁止されている理由は、名義貸しを許してしまうと、金融商品取引業者の登録を受けない者が金融商品取引業を行えることになってしまうからです。

<名義貸しの事例>
例えば、検査指摘事項のように、第二種金融商品取引業者が、他人に自社の名刺を渡し、自社が組成したファンドを他人に勧誘させることは、明らかに、名義貸しです。

問題は、投資助言・代理業者の場合です。金融商品取引法は、名義貸しの禁止規定で「金融商品取引業者等は、自己の名義をもって、他人に金融商品取引業を行わせてはならない」と定めています。

投資助言・代理業者の場合、投資顧問契約を締結することが金融商品取引業であり、勧誘は、投資助言・代理業(金融商品取引業)ではないと読めます(金融商品取引法2条8項11号)。

従って、例えば、投資助言・代理業者が、投資助言の会員を集めるために、自社の名義で、他人に会員を集めさせて成功報酬を支払う制度を作った場合、他人に会員を集めさせる行為、加入するように勧誘させる行為が、名義貸しに該当するかが大問題になります。

結論からいうと、他人に会員を集めさせる行為、加入するように勧誘させる行為は、名義貸しに該当すると考えます。

金融商品取引業は、一連の行為から成り立ちます。投資顧問契約は、広告があって、勧誘があり、投資顧問契約の締結に至るという一連の行為から成り立ちます。従って、投資助言・代理業者が、自社の名義で、他人に会員を集めさせる行為は、名義貸しであると考えるのが妥当です。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

コメント

非公開コメント

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。コンプライアンス・リスク管理コンサルタントとして、上場会社、が外資系企業など多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
http://office-jsl.com/

<お問い合わせ>
お問い合わせは、お問い合わせフォームで受け付けます。

<主な業務>
主な業務は、主な業務をご覧ください。

ブログの内容は個人的見解ですので、正確性は保証いたしません。また、ブログの内容に関する質問を含め、質問には一切回答いたしかねますので、ご了承ください。

プライバシーポリシー

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Translation
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード