売出しの実務2


<売出しの定義>
有価証券の売出しは、一定の条件で行う、有価証券の売付けの申込み又は買付けの申込みの勧誘、まとめて、売付け勧誘等といいますが、実務的には「有価証券の販売」を意味します。有価証券の販売は、原則として売出しに該当するということです。

<開示規制>
売出しが難しいと感じられる、あるいは間違って理解されている原因の一つは、売出しには開示規制が関係してくるからです。開示規制は、金融商品取引法の中でも難解といわれる規制です。開示規制に売出しがからんでくると、開示規制に引きずられて、売出しが難しく感じられるわけです。

金融商品取引法4条の本文は、有価証券の売出し(販売)は、発行者が届出をしているものでなければ、やってはいけないと規定しています。有価証券の販売は、原則として、有価証券届出書が提出されていなければやってはいけないということです。

実務的にいうと、証券会社は、原則として、有価証券の販売をするたびに、発行者による届出を待たなければならないという意味です。

さらに、金融商品取引法15条2項は、発行者や金融商品取引業者などは、既に開示された有価証券も含め、有価証券の売出しにより有価証券を売り付ける場合には、目論見書を交付しなければならないと規定しています。有価証券の販売は、原則として、目論見書がこうされなければやってはいけないということです。

実務的にいうと、証券会社は、原則として、有価証券の販売をするときには、投資家に目論見書を提供しなければならないという意味です。

すると、次の疑問が生まれます。

<疑問1>
売出しを行った社債の売残りを販売する行為も売出しに該当し、再び発行者による届出が必要なのか。また、目論見書の交付も必要になるのか。

<疑問2>
売出しを行った社債の打ち返し玉(跳ね返り玉)の再販も売出しに該当し、再び発行者による届出が必要になるのか。また、目論見書の交付も必要になるのか。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。コンプライアンス・リスク管理コンサルタントとして、上場会社、が外資系企業など多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

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JSL行政書士事務所
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