売出しの実務7


外国証券売出し
外国で既に発行された有価証券の売出し(証券会社が行うものに限る)のうち、一定の要件を満たすものを「外国証券売出し」と呼びます。外国証券売出しは、売出しの一種ですが、通常の売出しと決定的に違う点は、法定開示(発行者による届出や目論見書の作成)が不要だということです。

外国証券売出しは、新発はダメです。売出しの一種なのですから既発に決まっていますが、新発なら募集か私募に関する規定が適用されるからです。

外国で発行されてしまったために(国内で勧誘行為が行われなかったために)、募集や私募の規定が適用されないもの、これが外国証券売出しの対象となる外国証券です。

<一定の要件>
外国証券売出しの適用を受けるためには、一定の要件に該当していなければなりません。この一定の要件が複雑です(金融商品取引法施行令2条の12の3)。

外国政府等民間以外の者が発行する債券と民間が発行する債券とで取扱いをわけています。

外国証券売出しの対象となる外国国債、外国地方債、外国特殊法人債(日本で言えば会社法以外の法律で規定されている債券のこと)は、次の3点を満たす場合です。

(1)外国証券売出しの対象となる債券に関し、国内における売買価格に関する情報をインターネット等により容易に取得できること

(2)発行者が発行している債券が外国で継続的に売買されていること

(3)財政・経理情報が発行者等により日本語又は英語で公表されていて、かつ、インターネット等により容易に取得することができること、の3点を満たす必要があります。

ここでポイントは、(2)で外国で継続的に売買されていなければならない債券は、外国証券売出しの対象となる債券に限らず、発行者が発行している他の債券でも良いこと、(3)で財政・経理情報が必ずしも発行者により公表されている必要がないという点です。ここが、民間が発行する債券と取扱いが異なる点です。

民間が発行する債券の例を示した方がわかりやすいと思いますので一つだけ取り上げてみます。

外国証券売出しの対象となる株絡み債を除く債券等(海外発行債券)は、次の3点を満たす場合です。

(1外国証券売出しの対象となる債券に関し、国内における売買価格に関する情報をインターネット等により容易に取得できること

(2)外国証券売出しの対象となる海外発行債券が一定の外国証券取引所(正確には外国金融商品取引所)に上場されていること、又は外国証券売出しの対象となる海外発行債券の売買が外国で継続的に売買されていること

(3)外国証券取引所の規則又は継続的に売買されている外国の法令に基づき、経理情報が発行者により日本又は英語で公表されていて、かつ、インターネット等により容易に取得することができることの3点です。

(2)と(3)が、外国政府等民間以外の者が発行する債券と民間が発行する債券との間で、少し異なる点に注意が必要です。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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