定義6


<買戻し玉の売出し>
売出しで販売した普通社債の買戻し玉の再販をする証券会社の方の中には、「50名未満までの勧誘であれば売出しに該当しないから、勧誘の相手方の数が50名未満であることを管理しながら再販しています」とおっしゃる方がいらっしゃいます。が、50名未満の管理は必要ありません。平成21年改正金商法で、開示規制が大幅に緩和されているからです。

有価証券の販売が売出しに該当すると、発行者が有価証券届出書を提出し、目論見書を作成しなければならないところに、発行者や売出しを行う証券会社の負担があるわけです。ですから、有価証券届出書の提出も目論見書の作成も必要なければ、売出しに該当しても負担はないわけです。

金商法4条1項3号で、開示が行われている場合の有価証券の売出しに際しては、届出不要と規定されています。この規定は、平成21年改正金商法前からありました。

平成21年改正金商法で追加された規定は、目論見書の作成に関するものです。

金商法13条は、発行者の目論見書作成義務定めています。既に開示された有価証券の売出しについても同様だと規定しています。

ただし、既に開示が行われている場合における有価証券の売出しのうち、内閣府令で定めるものは除くとあります。この規定も、平成21年改正金商法前からありました。ということは、改正(緩和)されたのは、内閣府令(企業開示府令11条の4、特定有価証券開示府令14条)の内容だということです。

<企業開示府令11条の4>
企業開示府令11条の4は、目論見書の作成不要の売出しを規定しています。

同条2号イのカッコ書きから、株券、新株予約権証券、新株予約権付社債、転換社債等(以下「株券等」)以外の有価証券については、目論見書の作成が不要であることがわかります。

したがって、既に開示された普通社債の売出しに際して、発行者は目論見書を作成する必要がありません。

株券等については、発行者が所有者である株券等の売出し、転売目的で発行者から株券等を取得した証券会社が行う株券等の売出し、残額引受けをした証券会社が行う株券等の売出しなどに該当しなければ、既に開示された株券等の売出しであっても、目論見書の作成が不要です。

<特定有価証券開示府令14条>
特定有価証券、つまり、投資信託や信託受益権など、器の中身の情報が重要な有価証券の売出しに関しても、特定有価証券開示府令14条に同様の規定があります。ほとんど同じ規定ですので説明は省略します。

既に開示された有価証券の売出しに際し、目論見書の作成が要求される場合は、結局、株券等の所有者と投資者との間に、情報の非対称性(情報の偏り)が認められる場合等に限定されたということです。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

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