出資法と金融商品取引法


健康食品販売会社が優良な温泉を所有していると投資家を欺き、「鉱泉権」の名目で不正にお金を集めたとして、警視庁は、同社社長らを逮捕する方針を固めたということです。同社は、約650人から総額約80億円を集めたと報道されています。

<出資法>
出資法の正式名称は、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」です。

出資法は、不特定多数の者に対し、後日出資金の全額以上の金銭を支払う旨を示して出資金を受け入れることを禁止しています。要するに、絶対に損をしない儲け話を持ちかけてお金を集めてはならないということです。(出資金の受入れの制限)

また、銀行等でない者が事業として不特定多数の者から金銭を預かることも禁止されています。(預り金の禁止)

同社の行為は、預り金の禁止違反と報道されている例が見られますが、報道内容を見る限り、出資金の受入れの制限違反です。

<金商法との関係>
「金融商品取引法のブログで、なぜ出資法?」

実は、出資法と金商法は関係の深い法律です。

組合等の形態で、1.出資者から出資金を集め、2.出資金で事業を行い、3.出資者に配当金又は分配金を支払う場合、1.の行為は、金融商品取引業である「自己募集」です。(金商法2条8項7号)

このとき、出資を集めた者が、金融商品取引業者であってもなくても、出資金を満額支払う(返金する)旨を示していたら、出資法違反になります。また、無登録業者であれば、当然、金商法違反にもなります。

例として、不動産ファンドを考えてみましょう。

不動産ファンドとは、匿名組合契約などを通じて、1.出資者から出資金を集め、2.出資金で不動産(信託受益権)に投資し、3.不動産から生ずる賃料を配当金とし、不動産の売却代金を分配金として支払う仕組みです。

このとき、出資者に、「出資金額以上の分配金を支払います」と確約して出資金を集めると、出資法の条文上、即、出資法違反です。

第二種金融商品取引業者は、広告・勧誘を行う際、出資法にも留意しなければなりません。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
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