不動産ファンド1


不動産市況が回復の兆しを見せ、不動産ファンドがあらためて見直された結果でしょうか、あるいは不動産特定共同事業法が改正されたためか、第二種金融商品取引業者の登録件数が増加しています。第一種金融商品取引業者の数が減少傾向にあるのと対照的です。

このシリーズでは、不動産ファンドにスポットを当て、不動産ファンド、特に、不動産信託受益権やGK-TKスキームと金融商品取引法の関係について解説していきます。

<信託の受益権>
信託の受益権は第二項有価証券と金融商品取引法で定義され、第二種金融商品取引業者として登録を受けていない者が取り扱うことができません。登録を受けることなく取り扱った者は、最長5年の懲役刑です。

信託の受益権とはなんでしょうか。あらためて、復習しておきましょう。

抽象的に話すとわかりにくいですから、具体的にテナントビルの信託を例にとって話します。

<信託>
信託は、委託者、受託者、受益者の3者が登場人物です。「委託者」は、テナントビルという現物不動産の所有者です。委託者は、受託者である信託銀行(信託会社)と信託契約を結び、信託銀行にテナントビルの管理を委託したとします。

まず、委託者はテナントビルを受託者である信託銀行に譲渡します。所有権は、当然、受託者に移転します。

「受託者」は、テナントビルを取得し、信託契約に基づき、テナントビルを管理する者のことです。具体的には、テナントビルのテナントに賃料を請求し受領します。

受託者が受領した賃料は、受益者の請求により、受益者に支払われます。「受益者」とは、信託契約の効果として、信託銀行(受託者)に、「賃料を支払え」という請求することができる請求権を有する者のことです。

この「賃料を支払え」と受益者が請求できる請求権こそが、「信託の受益権」です。

<受益権の譲渡性>
不動産信託受益権を有する受益者は、不動産信託受益権を他人に譲渡することができます。こうして、不動産信託受益権は市場に流通する可能性があるわけです。金融商品取引法が、信託の受益権をみなし有価証券として規制の網をかけた理由です。

譲渡があると、実務では、信託銀行が「譲渡承諾書」を発行します。不動産信託受益権は、受益者が受託者(信託銀行)に「賃料を支払え」と請求できる権利ですから、債権です。債権一般の原則に従い、受益権譲渡の対抗要件は、受託者に対する通知か受託者の承諾です。実務では、譲渡承諾書をもって、対抗要件を具備しているわけです。

なお、信託銀行は譲渡を承諾すると受益者名簿に現在の受益者を記録します。こうして二重払いが防止されます。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
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